日本遺伝学会で学生がBest Papers賞、Young Best Poster賞を受賞

9月4〜6日に永国寺キャンパスで行われた「日本遺伝学会 第96回大会」において、久世 陸さんがBest Papers(BP)賞を、古川 研人さんがYoung Best Poster(YBP)賞を受賞しました。

BP賞は111件行われた口頭発表のうち発表審査委員の投票で選出された12件に、YBP賞は47件行われたポスター発表のうち学会参加者全員の投票により選ばれた7件に贈られました。

久世 陸さん(博士後期課程 基盤工学コース 3年)
指導教員:染色体機能制御学研究室 石井 浩二郎教授
発表テーマ「急性の異数性に対する普遍的なミトコンドリア応答が染色体再編成に及ぼす影響」


遺伝情報の担い手である染色体は、細胞分裂の際に二つの娘細胞に均等に分配される必要があります。染色体が不均等に分配し、染色体の数に異常が生じることは染色体異数性と呼ばれ、細胞に悪影響を及ぼすことが知られています。久世さんらは人為的に染色体異数性を引き起こすことで、生じたばかりの染色体異数性(急性の染色体異数性)に対する細胞応答を解析することに成功しました。その結果、ミトコンドリアの形態が変化するなどの細胞応答が見られ、生物の進化や種分化にミトコンドリアが関与している可能性を見出しました。



受賞を受け、久世さんは「研究活動を支えてくださった石井先生と研究室のメンバーに心から感謝しています。今後は、この研究成果を論文という形で発表できるよう力を尽くしていきたいと考えています」と話しました。


古川 研人さん(修士課程 生命科学コース 2年)
指導教員:染色体機能制御学研究室 石井 浩二郎教授
発表テーマ「ネオセントロメアで維持される分裂酵母新規人工染色体の作製と性能評価」


セントロメアは、細胞分裂の際に染色体を各細胞に均等分配させるという重要な役割を果たします。細胞には、このセントロメアを新たに作り出すネオセントロメア形成という応答があります。古川さんらは、ネオセントロメア形成を利用して、細胞の生存に非必須のDNA上に自発的にネオセントロメアが形成された人工染色体を作製しました。更に、この人工染色体が細胞の生存に不要であるにもかかわらず、細胞分裂を通して本来の染色体同様に均等分配されることを確認しました。





受賞を受け、古川さんは「研究を評価していただき嬉しく思います。このような結果を残すことができたのは石井先生のおかげで、とても感謝しています。また、より良い結果を出したいと向上心が高まりました。この研究で行ったのはネオセントロメアを形成した人工染色体の作製と体細胞分裂における評価を行いました。今度は、減数分裂における評価を行っていきたいです」と話しました。