大学について
異文化交流の地・長崎ならではの、地域性と国際性を兼ね備えた大学
本学は、佐世保校(佐世保市川下町)とシーボルト校(西彼杵郡長与町)の二つのキャンパスから成り立つ大学です。佐世保校は昭和26(1951)年に長崎県立佐世保商科短期大学として開学し、シーボルト校は明治35(1902)年に設立された長崎県立高等女学校をその源流としています。
二つの地域で発展してきた両大学は、平成20(2008)年に統合。以来、新しい時代に挑戦し続ける人材の育成を核として、地域を創造し持続可能な地域づくりに貢献し、地域の未来を拓く拠点となっています。
全国の大学の中では決して大きな規模ではありませんが、古くから海外に開かれた長崎の歴史・文化・地理的特性を背景に、この地ならではの実践的な学びを展開し、国際性と地域性を兼ね備えた人材を数多く輩出しています。
地域の未来を拓く長崎県立大学
私たちは今、先の見えない不確実で不安な時代のまっただ中にいます。30年前の冷戦の終焉以来、情報技術革新に先導されて、ヒト・モノ・カネが国境を越えて行き交うグローバリゼーションが起こり、世界の社会経済は大きく発展してきました。
しかし一方では、情報技術革新はGAFAと呼ばれる巨大な企業を生み出して世界に富の格差問題を顕在化させ、それに対抗するように、4年前のアメリカ大統領選挙の前後から「自国第一主義」といわれる風潮が湧き起こり、米中貿易戦争やBrexitなど世界を分断するような動きが登場してきました。
さらに2020年の幕開けとともに、中国の一地域を発端とした新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に広がり、人々を不安と恐怖に陥れています。今や私たちは、世界の社会経済に深く浸透したグローバリゼーションが崩壊するような歴史的危機に直面しております。
一方わが国の多くの地域では、人口減が止まらず社会存続さえ不確実になり、加えて気候変動による災害の頻発に悩まされていますが、さらに、海外とのつながりに再生の手がかりを得てきた地域は観光客の急減等の試練に遭遇しています。
この先の見えない不確実で不安な時代の中にあって、私は長崎県に立地する長崎県立大学の果たすべき役割は極めて大きいと考えています。
本学は、経営学部と地域創造学部を擁する佐世保校(佐世保市川下町)と、国際社会学部、情報システム学部、看護栄養学部を擁するシーボルト校(西彼杵郡長与町)の二つのキャンパスからなり、学生数は大学院を含め約3000名と全国の大学の中では決して大きな規模ではありませんが、地域に根差した県立の大学として人材育成を中心に地域に貢献して参りました。
佐世保校は、昭和26(1951)年に長崎県立佐世保商科短期大学として開学し、昭和42(1967)年には長崎県立国際経済大学として大学に昇格しました。平成3(1991)年には経済学部流通学科の増設にともない長崎県立大学に改称し、平成15(2003)年には地域政策学科を加え1学部3学科に発展しました。
シーボルト校は、118年前の明治35(1902)年に設立された長崎県立高等女学校をその源流とし、戦後の昭和22(1947)年には長崎県立女子専門学校となり、同25(1950)年に長崎県立女子短期大学として開学しました。その後昭和32(1957)年に長崎県立短期大学、同44(1969)年長崎県立女子短期大学への改称を経て、平成11(1999)年には、長崎県立女子短期大学と長崎県立長崎保健看護学校を継承し、看護栄養学部と国際情報学部の2学部を擁する県立長崎シーボルト大学が開学しました。
同じ県立として二地域で発展してきた両大学は、平成20(2008)年に統合し、二つのキャンパスからなる総合大学として多様な人材を育成するとともに、大学の総合力を発揮して地域に貢献して参りました。そして平成28(2016)年には、経営学部・地域創造学部・国際社会学部・情報システム学部・看護栄養学部の5学部に改組し、実学的・実践的科目を多く取り入れた教育課程を構築しました。
長崎県立大学は、新しい時代に挑戦し続ける人材の育成、県立の大学として地域社会を創造する担い手・リーダーの育成を大学の使命としています。
それは、先の見えない不確実で不安な時代にあって、“Society5.0”と呼ばれる新しい時代が指し示す方向や諸課題に真正面から取り組み、海外を含む各地域の価値と文化を発見し、未来を見据えて持続可能な地域社会を担いリーダーとして活躍する人材の輩出を目指すものです。中央からは遠く離れながらも、古くから海外に開かれた長崎の地であればこそ可能な人材育成です。
このように新しい時代に挑戦し地域社会を創造し担う人材が備えるべき力を、本学ではKEN-SUN力と呼んでいます(この名付け親は学生です)。それは、@長崎で地域を理解するとともに世界の中のNagasakiを知ることでグローバルに交流しながら地域・国際社会に貢献し、平和を創る力、A未来を生き抜く知識を修得し、それを知恵として活用する力、B他者を尊重するとともに、自己を主張し、協働・共生する力、C物事を多面的・俯瞰的にとらえる想像力と新しい知を創造する力、D未知の課題に挑戦しつつ、学びを継続する力、そしてE自立した生活と自律的な学びをするという6つの力です。これを全学教育と専門教育における講義と学外・海外での実践的な実習活動を通じて修得しています。
たとえば全学教育では、長崎県の地理的特徴である多くのしまをキャンパスとした「しまなび」という科目を設置し、学生自身が主体的に設定した課題解決のためにしまに出かけ、現地での調査や実習の実践を通じてKEN-SUN力を身につけていきます。
専門課程においても、「海外ビジネス研修」ではシンガポール、タイ、ベトナム等の最先端の現場において語学力を駆使して就業体験し、「企業インターンシップ」では地域企業の中で経営や技術を学び、「経営実践」では実際に事業を起こし、「災害看護学実習」では地震発生を想定した災害時に求められる看護師の役割について実践活動を通じて学んでいます。そして、自分自身にどの程度の力がついたかを、各種検定試験などを活用して確認しています。
この実践的教育を通じた大学と国内外の地域や企業との関わりは、学生のキャリアアップや教員の研究深化へと展開し、長崎県立大学は人材育成を核として、地域を創造し持続可能な地域づくりに貢献し、地域の未来を拓く拠点となっています。
学長 木村 務
理念
長崎県立大学は、長崎の歴史・文化・地理的特性を踏まえ、県立の大学として、地域経済の発展と県民の健康・生活・文化の向上を図る学術文化の中心としての役割を担うべく、「人間を尊重し平和を希求する精神を備えた創造性豊かな人材の育成」「長崎に根ざした新たな知の創造」「大学の総合力に基づく地域社会及び国際社会への貢献」を理念・目的としています。この理念・目的を達成するために、高度な専門的知識の教授と、幅広い教養教育により、豊かな人間性と高い知性の涵養を図り、複雑・多様化する社会に的確に対応できる深い洞察力と実践力を備えた創造性豊かで、経済・国際関係・情報メディア・看護・栄養の分野で活躍できる専門的職業人を育成します。
また、大学院においては、専門性をさらに発展させ、幅広い見識と高度な専門知識を有し、各分野で高度専門職業人として活躍できる人材を育成します。
長崎県立大学 - 教育研究上の目的
経営学部
現代の国内外の企業経営に必要な知識・知見と実践力を身に付け、幅広い視野で経営上の課題を解決できる人材を育成することを目的とする。経営学科
現代社会で企業に求められている企業統治制度(コーポレート・ガバナンス)の強化、企業の社会的責任(CSR)への対応をはじめ、自治体運営や非営利団体での経営学的視点の導入など、経営学に対しての要請は拡大している。そこで現代の企業経営及び組織の管理に必要な経営学の知識・知見と実践力を身に付け、幅広い視野で様々な企業やその他の組織の課題に主体的に対応できる人材を育成する。
国際経営学科
現代社会で企業に求められている経営学への要請を踏まえつつ、さらに国際的に活動範囲を広げている企業についての理解を深めることが必要である。そこで現代のグローバル化している企業経営に必要な経営学の知識・知見と実践力及び語学力とともに海外での実践を通じて国際的な経営感覚を身に付け、グローバルな視点で様々な企業の課題に主体的に対応できる人材を育成する。
地域創造学部
地域の発展に必要な知識・知見と実践力を身に付け、幅広い視野で地域の課題を解決できる人材を育成することを目的とする。公共政策学科
公共という視点に立って、政策の企画・立案及び評価に関する知識・知見と実践力を身に付け、幅広い視野で地域の政策課題を解決できる人材を育成する。実践経済学科
企業活動における企画・立案能力を有し、地域経済の動向を分析しその発展に寄与できる人材を育成する。国際社会学部
国際社会学科
国際社会及びメディアに関する知識と実践力を身に付け、グローバルな視野での課題解決能力及び情報発信能力を有する人材を育成することを目的とする。情報システム学部
情報システムに関する知識と実践力を身に付け、高度情報化社会における課題を解決できる人材を育成することを目的とする。情報システム学科
情報システムに関する広い視野と知識を備え、システム開発のプロフェッショナルとして活躍できる人材を育成する。情報セキュリティ学科
情報セキュリティ全般にわたる広い視野と知識を備え、情報セキュリティのプロフェッショナルとして活躍できる人材を育成する。看護栄養学部
人々の健康な生活を支援するため、豊富な科学的・専門的知識の修得と、あらゆる年齢層のさまざまな健康状態の人々と接することができる豊かな人間性を持つ人材の育成を目指すとともに、健康学科の基礎と応用を総合化した教育研究を推進することにより、実践的問題解決能力を養い、地域の保健・医療活動を通して、人々の健康と福祉の向上に貢献できる人材を育成することを目的とする。看護学科
生命の尊厳と人権の尊重を基本とし、人々の健康問題の解決に向けて、国際的視野をもち、保健・医療・福祉を統合した看護を実践できる能力の育成をめざす。さらに看護職として、看護学の発展に自律的、創造的に寄与する人材を育成する。また、この教育理念の達成に必要な看護学・保健学領域の研究を推進する。