学部、学科情報

各コース・領域の紹介

 上越教育大学は,学生が,初等教育全般にわたる総合的な理解を深め,初等教育教員として必要な資質能力を培うとともに,さらに特定の分野の専門性を深め,中等教育をも見据えて力量を高めることができるよう,次の各コース・領域を設けています。
 学生は,2年次以降,本人の希望と1年次の成績に基づいて決定されたコース・領域に所属し,そのコース・領域に応じて,それぞれ所定の授業科目を履修することになります。

 コース・領域名及びその概要は次のとおりです。


初等教育教員養成課程

学校教育専修

学校教育実践コースは、「教科教育実践」、「学級経営実践」の2つの領域で構成されています。


 「学校教育実践コース」は、なりたい教師像を絵を描くように自分でデザインすることであるととらえ、本コースでは、自分のなりたい教師像を描き、そのために必要な専門性を身に付けることを目指します。
 学校の中ではさまざまなことが次々と起こります。教師には、それらのできごとを正確にとらえ、すぐさま適切に対応することが求められています。そのためには、子どもの気持ちや行動の意味を理解すること、教科の内容や教材などについて深い知識を持っていること、子どもの置かれた社会の状況についてきちんと理解していることなど、多面的で総合的な力を備えている必要があります。
 その一方で、教師という仕事は一人でやるものではなく、同僚の教師たちと一緒に授業や行事を運営したり、保護者や地域の人々と協力して子どもの健全育成に取り組んだりなど、さまざまな人々と協同して行う仕事ですから、多様な人々と協力する力も求められます。
 これらの力を身につけるには、大学で多くの知識や技能を学ぶだけではなく、学校現場に実際に関わることが大切です。そのため、学校教育実践コースでは、学校現場に実際に足を運び、そこで起きていることに学びながら、教職で求められる多面的で総合的な力を身につけていきます。
 また、学校教育実践コースでは、教職大学院の学校教育実践研究コース(学級経営・授業経営領域)と連携し、学部の学生とは立場の異なる大学院生と共に学ぶ機会を設けています。それによって、さまざまな人々と協力する力も高めていくことができます。学校教育実践コースは、このような特色あるカリキュラムを通して、みなさんの夢の実現をサポートします。

領域

・教科教育実践
・学級経営実践

先端教科・領域学習コースは、「小学校英語」、「プログラミング教育」、「教科横断」、「学習支援」の4つの領域で構成されています。


小学校英語

『小学校英語』では、小学校を中心に、中学校・高等学校において実践的な英語の指導を行うことのできる教員の養成を目指します。英語によるコミュニケーション能力を培い、英語科教育における理論をどのように効果的な実践に繋げていくかを学びます。また、英語科における「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、協同学習やファシリテーション技術を取り入れた英語授業の設計と実践方法を学びます。特に、英語学習において必要不可欠な仲間との安定したコミュニケーションを保証するために、いかに指導者が安心・安全な環境をつくるかという観点から、その原理を追求し、リフレクティブな英語科教育を学ぶことができます。

プログラミング教育

私たちの生活に身近な物がインターネット経由で結びつき(IoT)、それらを人工知能(AI)が適切な判断を行う時代が到来しています。急速に社会や産業の構造が変化していく中で学校教育に求められるのは、与えられた課題を効率よくこなすだけでなく、自分なりに試行錯誤しながら新たな価値を生み出すことができる児童生徒の育成です。そのためには、教師自らが人・自然・地域・文化・学校など様々な関わりを通して、学び続けることが重要です。
本領域では、各教科の授業力と児童生徒と関わる力を高めながら、プログラミング教育等を通して、幅広い学校課題に対応することができる教員の養成を目指しています。

教科横断

『教科横断』では、現代的な教育課題に対して積極的にアプローチすることのできる教員を養成するために、各教科等を横断する教育実践の研究・開発を行います。異なる教科間での連携・横断や小・中・高などの校種間の接続を体系的に構想することで、最先端の専門諸科学の知見を動員・応用するという観点に立脚した指導法の研究や教材の開発を行い、多様な教育課題に対応するための資質・能力の高度化をはかることを目的としています。教科の枠を越えて子どもたちを「深い学び」にいざなうことのできるような「専門性」と「教師力」を身につけるために、多角的な視点からその原理と実践について検討を加えることのできるような特色あるカリキュラムを設けています。

学習支援

現在、わが国では、共生社会の形成に向けてインクルーシブ教育システムの構築が進められています。これを受け、通常の学級では、障害のある児童生徒のみならず、教育上特別の支援を必要とする児童生徒が在籍していることを前提に、各教科等の指導や学級経営を行っていくことが求められています。『学習支援』では、特別支援教育の目的や意義について十分理解することを基盤に、個々の児童生徒の実態を多面的な観点から理解できる力、個々の児童生徒の実態を踏まえて各教科等の指導に当たっていくことのできる力、互いの特徴を認め合い支え合う学級づくりができる力、教職員等と連携して指導に当たっていくことのできる力を身に付ける特色あるカリキュラムを設けています。

領域

・小学校英語
・プログラミング教育
・教科横断
・学習支援

現代教育課題コースは、「学習臨床・授業研究」「発達と教育連携」「道徳・生徒指導」の3つの領域で構成されています。


学習臨床・授業研究

『学習臨床・授業研究』では、学校における子供の学習場面に臨みながら学習の過程を適切に把握することを通して、子供が自己を確立し表現できるような教育活動を展開できる授業を研究し、自らカリキュラムを創造し改善できる教員の養成を目指します。学校の多くの時間は何よりも“学習”にあてられています。学習のあり方を追求することは、学校での子供たちの新たな世界の広がりと成長の可能性を見いだすことにつながります。
そのために、実際に子供との関わりをもちながら、一人ひとりの子供の学習の実現のあり方を学ぶ科目が用意されています。それらの科目と自らテーマ設定する卒業研究とを通し、アクティブ・ラーニングやICTを活用した子供の学びの質を高める学習デザインや、総合学習、SDGs、国際理解、自然環境などに関する専門知と実践知を修得し、カリキュラム・マネジメントのできる資質・能力を養成します。そして、全ての学習活動の基礎となる主体的、協働的で柔軟に学びに向かう子供の人間性を育む教育実践を展開できる教員への成長を支援します。

発達と教育連携

『発達と教育連携』では、教師と子ども、学校と地域社会との連携など、連携という視点に立って、教育学や心理学の立場から教育の在り方を専門的に追究します。具体的には、子どもの発達や心理、学校や学級の運営、教育行政や保護者・地域社会に関わる問題などを研究します。様々な教育をめぐる問題について考え、その具体的な解決方策を探ることを通じて、将来、教師あるいは教育に関連する仕事に就こうとする皆さんに必要な、連携・協働して問題解決にあたる力や教育実践力を身につけることを目指しています。
現代の学校が抱える複雑な問題を解決するためには、個別的・技術的な対処法だけでなく、人間の成長・発達や教育という営みに関する根本的な理解を踏まえることが不可欠です。また、知識だけでなく、科学的で実践的な課題探究の方法と態度を学ぶことも重要です。「発達と教育連携」では、これらの点を大切にしながら、具体的には以下のような3つの観点から研究を進めています。

  1. 学校や家庭における子どもたちの多様な「心と行動の現象」を、心理学の視点から総合的に探究します。子どもの認知的・社会的発達や学習のプロセス、それを支える多様な人間関係など、子どもたちの心を多角的に探究し、子どもたちの発達と学習を適切に援助していくための理論と方法を学びます。

  2. 学級内の教師と子どもとの関係、子どもの仲間集団、学校の雰囲気や風土、学校と家庭や地域との関係、社会環境と子どもの歴史的な変容などについて、観察や質問紙調査、文献資料による科学的な研究手法を通して学びます。

  3. 学校教育を支える組織的な活動や仕組みについて学びます。学級、学校という組織、教育に関わる法規や制度などについて学ぶことにより、実行可能な解決方策を立て、協働して取り組める指導力ある教師の養成を目指します。

道徳・生徒指導

『道徳・生徒指導領域』では、児童生徒が毎日の学校生活を生き生きと充実して過ごしながら、道徳的心情と実践力の向上、社会性の育成と個性の伸長、良好な人間関係作りの能力を自ら育むためには何をどうすればよいのかを探求します。教科内容以外のあらゆる教育問題について多角的に考察を深め、教育実践に活かす具体的な予防的・開発的方策を探っていきます。将来、教職をはじめ教育に係る仕事を志向する学生のみなさんに必要な、高い知識と技能を身につけることをめざしています。

学校教育の今日的話題として、児童生徒の(1)規範意識の向上、(2)『セーフティー・カウンセリング・ガイダンス・チーム』をキーワードとする育てる生徒指導、(3)個別対応と望ましい集団の形成、(4)自己肯定感や自己管理能力を基盤としたキャリア形成、などがあります。それらを踏まえながら、具体的には以下の5つの観点から研究を進めています。
  1. 生徒指導の視点:生徒指導は、学習(教科)指導と並び学校教育活動の二本柱の一つです。また、学校教育全体を通して行われることから、教育課程に位置付けられていない機能です。児童生徒に寄り添(沿)いながら、彼らが自分の長所を自分で伸ばしていく自己指導力を高めるために教師(教職を目指す我々)には何が求められているのか。また、何ができるのかを探求します。

  2. 道徳教育の視点:道徳教育は、小中学校では、『特別の教科 道徳』としての道徳教育と、学校教育全体を通じての道徳教育との二重構造で実施されています。また、高等学校でも授業としての道徳の時間はないものの、道徳教育の全体計画を立てることが義務付けられ、学校教育全体を通じて行われています。これらを前提に、学校教育のあらゆる領域と関連させて道徳の在り方を探求します。

  3. 学校教育相談の視点:教育カウンセリング(教育モデルの採用、ガイダンス機能の活用、個別+集団対応)、換言すれば『育てる生徒指導』の視点に沿った児童生徒・保護者支援や校内・学外連携におけるコーディネーションとコンサルテーションまでを包括した視点で、登校拒否(不登校)、非行、いじめなどの問題行動の予防と対応の在り方、良好な関係性のある集団づくり、教師の自己更新などの具体的方法を探求していきます。

  4. 特別活動の視点:教師と児童生徒の個人的資質と能力が、集団という場でどのように変容するのか、どうしたら望ましい集団づくりができるのか、など「個人」と「集団」の関係性について考えていきます。児童生徒における学校生活のあらゆる「為すことにより学ぶ」場面での出来事に関心を持ち、個と全体、グローバルとローカル、研究と実践、そのつなぎ目を架橋し、時に往還していきます。

  5. キャリア教育の視点:児童生徒のキャリア発達を促進するキャリア教育の効果について、心理・統計的な視点から実践的かつ実証的に探求していきます。グループダイナミクス研究の創始者であるKurt Lewinの『理論なき実践は盲目であり、実践なき理論は空虚である』の言葉を重視し、キャリア教育、職業指導、進路指導、キャリア発達、キャリアデザイン等を中心に、学校教育をあらゆる視点から検討し、人の生き方・あり方、キャリアについて探求を深めます。


領域

・学習臨床・授業研究
・発達と教育連携
・道徳・生徒指導
 幼年教育コースでは、幼年期における子どもの発達とそれを支える幼稚園やこども園の教育、保育所保育、家庭教育や子育て支援について学びます。これから初等教育の出発点に立つ教師・保育者として、保護者や地域、諸学校と連携しながら、みずからの実践の質をどのように高め、子どもの発達を支えていくべきかについて、理解を深めていきます。
 心身ともに著しく発達し、生活の場が急速に拡大するのが幼年期です。この時期の子ども一人ひとりの発達にふさわしい環境を、教師・保育者・子育ての支援者や保護者が子ども自身と一緒につくり上げていくことから、幼年教育は始まります。しかし現代の家庭や子どもの諸施設には、さまざまな問題が生じています。それらを見定め、どのように解決していったらよいのかをともに考え、実践に移していくことがいま必要です。
 私たちの学習内容は、幼年教育学、幼年心理学、保育内容の研究から構成されます。保育内容の研究には、健康、人間関係、環境、言葉、表現の5つの領域が含まれます。
 幼稚園やこども園、保育所、小学校での教育実習における学習も重要な位置を占めています。幼年期の子どもや幼年教育の実際は、より広い視点から、現場で子どもたちと触れ合いながら学ぶことが必要です。理論と実践の両面から総合的、共同的に学び合うことを通して、地域における教育・保育・子育ての優れた担い手となってもらうことが本コースの目的です。多くの仲間が幼年教育コースに集うことを期待しています。

領域

・幼年教育
 現在の学校現場では、いじめ、不登校、ひきこもり、非行、虐待、発達障害など、子どものこころに関するさまざまな問題に対応することが求められています。『心理臨床』コースでは、教科を教える力だけではなく、子どもの内面についても理解する力を身につけることを目指しています。「こころ」の問題は実に多様であり、さまざまな悩みや症状となって現れます。本コースでは、子どもたちのさまざまなこころの問題を理解し、解決できるように援助する心理療法の理論と技法について専門的に学ぶことができます。学校現場での教育相談や生徒指導に生かすことができる専門性を身につけることを目指しています。

 本コースでは学部を卒業するだけでなく、大学院修士課程を通した複数のルートから選択ができます。1つ目は、希望する教科の免許を取得することはもちろん、カウンセリング技法をはじめ、子どもたちとかかわる力を身につけ、学校現場で学級経営に活かす【教員】のルートです。2つ目は学部の心理学の学びをさらに高めるために【大学院修士課程に進学】するルートです。このなかにはさらに選択肢があり、修士課程を終えて教員となる場合、修士課程で臨床心理士養成カリキュラムを終え、修了と同時に受験資格を得る場合があります。教員免許と臨床心理士資格の2つをもった教員として、あるいは臨床心理士として働きます。さらに、学部で小学校教諭一種免許に必要な単位に加え、公認心理師対応の指定科目を履修し大学院修士課程の公認心理師養成カリキュラムを終えて、修了と同時に国家試験の受験資格を得る方法もあります。こちらも心理面で高度な知識と技能を有した教員として、あるいは公認心理師としてさまざまな分野で活躍できます。大学院では臨床心理士と公認心理師の2資格の受験資格を得ることも可能です。

 教員はさまざまな現場での経験豊富な臨床心理士の有資格者であり、実践に基づいた指導を行っており、充実した実習をはじめ、高い評価を得ています。学校現場だけでなく、教育関連あるいは医療保健、福祉、司法・矯正、産業労働分野とさまざまな場で活躍できる人材育成を目指しています。

領域

・臨床心理

教科内容構成コースは、「国語」「英語」「社会」「数学」「理科」「音楽」「美術」「保健体育」「技術」「家庭」の10の領域で構成されています。

国語 英語 社会 数学 理科
音楽 美術 保健体育 技術 家庭

国語

私たちは日本語をもちいて、表現し、理解し、伝達し合っています。すなわち、国語はすべての学びの基礎といっても良いでしょう。加えて、言語芸術としての文学の領域など、それ自体が大切な文化であるともいえます。それらを学校教育において担うのが、「国語」です。教科内容構成コース「国語」では、国語学・国文学・書写書道・国語科教育の各専門領域にわたって学力を確実に身に付けるとともに、子どもたちのことばの学びが生き生きしてまた深いものであるよう導く力を養います。
国語学では、日本語の音声や語彙、文法、文体などを取り上げて、日本語の多様な姿を地域や時代にとらわれずに幅広く学びます。
国文学では、代表的な古典文学の講読や演習を通じて、古典を深く理解する方法を学びます。また、近代の文学作品を読みとく方法やその意義・面白さを理解する授業があります。漢文学では、思想・史伝・詩文関係の資料の講読を行う授業を用意しています。
書写書道では、筆記具の持ち方から、なぜ筆順を覚えるのか、どうしたら字がきれいになるのかといった内容理論を学び、子どもたちが楽しく字が書けるよう導くための学習方法などについて扱います。
国語科教育では、国語科教育の目標・教材・学習指導法など、多角的な視点からその原理と実践について検討することを通じて、国語科教育の全体像の把握ができるような授業が組まれています。
これらを通して、教育現場で国語の学びをリードしていく教師になってもらえるよう、ともに研鑽していきたいと思っています。

英語

『英語』は、小学校・中学校・高等学校における英語教育を担う実践力のある教員を養成することを目的としています。
そのために、英語および英米文化、あるいは広く異文化に興味を持ち、学習意欲の旺盛な人を歓迎します。そのような学生を受け入れて、英語によるコミュニケーション能力を育成するとともに、英語科教育、小学校英語教育、英語学及び異文化コミュニケーションに関する理論的・実践的な研究を指導します。
英語科教育では、英語科教育の理論と方法、教材、評価方法、言語習得、実践的な英語コミュニケーションなどについて、多角的な視点から学びます。小学校英語教育では、外国語活動・外国語科について発達段階に対応した授業設計・実践・改善方法等について学びます。CLIL(内容言語統合型学習)等の最近の指導理論についても学びます。英語学では、英語の音声や文法について基本的事項を学習する授業や、英語または第二言語英語の個別のテーマについて掘り下げて検討を行う授業があります。異文化コミュニケーションでは、社会のグローバル化に対応し、多文化共生を支援し、異文化理解マインドを持った人材育成を目指しています。また、英語文学の授業では、英語文化圏における小説などを楽しむことができます。

本学では、LL教室とマルチメディア語学教室での授業や、外国人教師による授業も取り入れられており、多様で充実した学習が可能です。

社会

学校での教育実践のなかでも、社会科(地理歴史科・公民科)という教科で現在求められている授業を行うために必要な人文科学・社会科学・自然科学及び社会科教育(地理教育・歴史教育・公民教育)の諸領域について総合的・専門的な研究・教育を行います。この目的を達成するために、(1)社会認識の地理的多様性を識るとともに歴史的変遷の跡をたどること、(2)社会構造を明らかにすること、(3)これらの研究成果を教育実践に有機的に関連づけること、を重視しています。
1年次では人間教育学関連科目の学習が中心となりますが、2年次からは、地理学、歴史学、法律学、政治学、経済学、社会学、哲学、倫理学、宗教学、社会科教育の講義や実験の履修が始まります。さらに、3年次からは多数の専門科目や専門セミナーの科目が開講されます。具体的には、地理学、歴史学、法律学、政治学、経済学、宗教学、社会科教育の講義及び文献講読が開講されると共に、卒業研究へ向けての各分野の専門セミナーが始まります。専門セミナーは4年次にも開講され、2年間にわたって、きめの細かい指導を受け、卒業論文を作成することになります。
また、野外に出て実践的な調査法を学ぶ地域調査法が地理学、歴史学にそれぞれ開講されていることに加え、地域の学校で活躍する社会科の先生らと連携した研究・教育活動が学内外で活発になされていることも本領域の特徴です。
このような学修の結果、コースのほとんどの学生が、小学校免許に加えて中学校の社会並びに高等学校の地理歴史科・公民科の免許も取得し、社会科という幅広い教科教育実践が得意な「学校の先生」として活躍しています。

以上のように、『社会』では各分野の専門性を保ちながらも、その学際性を生かすことに留意し、意欲のある学生を心から待っています。

数学

『数学』は、数学や数学的な考え方に興味をもち、それを発展させて、教育に生かしてみたいと思う人のためにあります。小学校の算数教育の中心的な存在になれるような教員の養成、中学校及び高等学校の数学科を担当できる教員をも養成することを目的としています。
『数学』には、代数学、幾何学、解析学、確率論・統計学、コンピュータ、数学科教育の6つの領域があります。それぞれの領域における講義内容の主な特徴は次のとおりです。
代数学、幾何学、解析学、確率論・統計学の領域では、それぞれに対応する現代数学の初歩的内容とその基本的な考え方を講義します。コンピュータの領域では、初歩的なプログラミングの実習を行い、コンピュータの仕組みやその限界について体験的に学ぶ機会を提供します。数学科教育の領域では、算数・数学の教材分析や授業分析などを通して、その背景にある算数・数学教育の理論や指導法について講義します。
特徴的なものを挙げると、第1に、3年次の授業科目「実践セミナー」において、大学院生と一緒に算数・数学のマイクロティーチングを行うことです。授業を見据えた教材分析、授業の仕方、教師と子どもの相互作用などについての議論を通して算数・数学教育実践について学びます。さらに、授業で扱われた教材の数学的背景について考察し、教材の発展の仕方について学びます。第2に、3年次から開始される専門セミナーIにおいて、学生は各教員に2、3名ずつに分かれて、数学(代数学、幾何学、解析学)や数学教育学のゼミを行うことです。これは4年次の専門セミナーIIへと引き継がれ、卒業研究へと発展するものです。数学のゼミでは、主に数学の専門書を人間が考え出したものとして読み解き、それを発表し合います。これを通して算数・数学を教えるときに大切な人間の活動としての生きた数学やその奥深さを体験的に学びます。数学教育学のゼミでは、例えば、算数・数学教育の一つの教材について深く調べたり、その背景にある数学や教育思想について考えたり、あるいは、実際の授業や子どもの活動の様子を分析したことを発表し合います。
これまで数多くの卒業生が、全国各地の小中学校の教員として活躍しています。最近では、本学大学院に進学し、より高い実践力を身につけて教職に就く人も増えてきました。また、数学の知識を生かして企業に就職する人もいます。


理科

『理科』は、自然科学に関して広い視野と深い素養を持ち、学校現場において実践力のある教師を育成することを目標としています。自然に興味・関心をもち、観察や実験が大好きな人や、将来、理科の楽しさを子どもたちに伝えていきたい人を歓迎します。
『理科』は、「理科教育学」、「物理学」、「化学」、「生物学」、「地学」の5つの領域で構成されています。各領域では、関連した教材研究や指導法、および専門的な研究を行っています。
2年次に『理科』に所属すると、各領域の講義と実験の履修が始まります。特に、観察や実験の授業は、本を読むなどの独力では学ぶことのできない貴重な体験となります。3年次からは、各研究室に数名ずつ所属し、専門セミナーを受講しながら卒業研究をまとめることになります。3・4年次にわたって卒業研究を行い、理科の課題発見・解決のプロセスを実体験することにより、理科教師が備えるべき科学的素養を身につけることができます。
いま、小・中学校では、資質・能力を育てるとともに、各教科の特質に応じた“見方・考え方”を働かせる能力が重視されています。では、理科の“見方・考え方”を働かせるとはどのような意味なのでしょうか?『理科』に所属し、学びを深めることで、その意味が自ずと理解できるようになります。また、子どもたちが“理科の見方・考え方を働かせる”ための指導方法を修得することができます。

理科で扱う内容は、日常の生活や社会の中でも役立ちます。理科は決して難しい教科ではなく、充分な観察や実験を通して勉強すると、とても分かりやすい教科です。


音楽

『音楽』では、自ら音楽に興味を持ち、それをさらに発展させて教育の場に生かそうとする意欲を持っている人を歓迎します。
『音楽』には、声楽、器楽、作曲、音楽学、音楽科教育についての授業があります。具体的には、ソルフェージュ、指揮法、合奏、合唱、作曲、声楽、音楽史、ピアノ・管楽器の基礎や表現法を学ぶ授業、日本の伝統音楽や世界の諸民族の音楽と文化について学ぶ授業、初等・中等音楽科指導法などの講義や演習が開講されています。実践セミナーでは、大学院生と合同で、音楽教育にかかわる幅広いテーマを実践的に学んでいます。
『音楽』の特徴には、次の点があります。
  1. 様々な専門の教員による指導体制が充実しているので、音楽の実技・理論の両面にわたって、また、幅広い時代と地域の音楽について専門的に学ぶことができます。
  2. 合唱のように、学年を越えて、合同で行われる授業もあります。
  3. 箏、三味線、尺八、篠笛、太鼓など各種和楽器に加えて、バリ・ガムランのセットが一式そろえられ、これらの楽器を使って、日本の伝統音楽や世界の諸民族の音楽について、幅広く学ぶことができます。
  4. 3・4年次の専門セミナーの授業では、学生の希望に応じた研究内容に即して個人指導又はゼミナール形式で行う専門性の高い研究の場が提供されています。これらの授業は、卒業演奏会や卒業論文へと発展します。
  5. 音楽劇創作演習では、台本・作曲・演奏・演技をはじめとして、舞台制作に関わる部分も含めた授業が行われ、本学講堂を舞台に、学生による自作自演の音楽劇を毎年上演しています。
  6. また、吹奏楽、合唱、弦楽合奏、ガムラン、箏曲など多様な音楽の課外活動も活発で、定期演奏会の他、地域との積極的な交流演奏会を行っています。

『音楽』の学生は、入学時までの音楽体験の多少にかかわらず卒業する頃には見違えるほどの力がついてきます。また、卒業生は、本学大学院に進学する人、小学校、中学校、高等学校で教職に就く人を主として、音楽の専門分野、音楽関連企業など多方面で活躍しています。


美術

『美術』は、絵画、彫刻、デザイン、工芸、美術史・美術理論の専門領域と、美術科教育を通して、人間と美術と教育のかかわりについて学んでいく領域です。
『美術』では、カリキュラムを通して、デッサン、水彩画、油彩画、版画、テンペラ画、日本画、フレスコ画、塑造、テラコッタ、木彫、石彫、グラフィックデザイン、イラストレーション、写真、プロダクトデザイン、アニメーション、絵本、木工芸、陶芸、ガラス、金工、美術史、美術理論、制作論、美術館教育など、美術と教育に関する多様なテーマで研究を進めることができます。また、美術館での作品鑑賞、作家や工房を訪れる研修、子ども達とのワークショップなど、学外や地域と連携した活動も行われています。
『美術』の学生は、一人ひとりの意向を尊重した専門セミナーにおける個人指導のもとに、恵まれた施設及び設備を使って学ぶことができます。高等学校で美術を履修していない場合でも授業を通して各種の展覧会や発表で、自分自身の表現を身につけることもできます。それは、自分の自信になるだけでなく、教師としての資質も高められ、教職の場でも大いに生かされるでしょう。
学校教育における美術・図画工作は、子どもたち一人ひとりの表現の意味と価値を認める大切な教科です。作品をつくったり、見たり、話したりすることの大好きな子どもたちを育てていくために、教材研究、指導法など子どもの学びの姿をもとに、学部学生と大学院生と教員が共に研究を深めていきます。
卒業生は、小学校、中学校、高等学校の教職だけでなく、美術館などの社会教育機関、美術の専門分野、美術関連企業など、多方面にわたって活躍しています。また、大学院に進学し、さらに研究を深めることもできます。


保健体育

『保健体育』は、将来、小学校における体育指導の中心的存在として、あるいは、中学校または高等学校の体育・保健教科を担当できる専門的資質をもった教員の育成をめざしています。
児童・生徒の活発な屋内外の遊びや運動は、運動能力、体力、体格の発達を促し、健康の保持増進に資するとともに、人間的な成長にとって極めて大切な情緒の安定、自己統制力、他者を理解し思いやる心などを育むことと深い関わりがあります。児童・生徒の人間的な成長や発達、人々の健康の保持増進を願う指導者にとって重要となる課題は、健康や運動についての正しい理解と適切な方法を修得し、実際の指導に結びつけていくことです。
『保健体育』は、運動や健康に興味関心を持ち、児童・生徒の人間的な成長や発達、人々の幸福のために尽力しようとする人、さらには運動の意義や価値を人間の立場から探求することに興味のある人、また、自らも運動実践に興味を持つ人を歓迎します。
『保健体育』では、専門科目の学修や研究を通して、学術的な運動の原理、健康の意味、体育の指導について理解を深めることを目標にしています。


技術

『技術』では、生活に役立つ製品の創造・開発、コンピュータの基本的構成・操作、情報活用能力と技術を身につけ、それらを生活や社会に生かせる能力を持った生徒を育てる教員の養成をめざします。この目標のため、『技術』では、次の7つの学問に関して授業科目を用意しています。さらに、3年次から専門セミナーを受講し、専門的な知識を身に付け、卒業研究に取り組むことで実践力を養います。各学問の主な内容は次のとおりです。

技術科教育学では、「材料と加工の技術」、「生物育成の技術」、「エネルギー変換の技術」、「情報の技術」に関する教育が、全人的な陶冶と感性を発達させ、工夫・創造能力を育むために不可欠であることを学びます。技術科のカリキュラムづくり、教材研究論などを学び、技術科教員として必要な基礎的・基本的実践力を養います。
木材加工学では、木材の性質・特徴を理解し、木材を生活に役立つ製作品(例えば、本立て、椅子)に仕上げるための基礎的な知識と技術を習得します。手加工では、さしがね、平かんな、両刃のこぎり、げんのうなどの工具を使用し、機械加工では、帯のこ盤、自動かんな盤、丸のこ盤などを使用します。これらの実習では、安全を保持する態度も育てます。
金属加工学では、「金属加工法」で中学技術科での指導に必要とされる金属加工の基礎事項を学習し、これに必要な知識・技術の習得を図ります。
電気・電子工学では、日常なにげなく利用している電気に対する認識を再確認することから始まり、そのために電気工学、電気回路、電子工学などの基礎を学んだ後、それらを応用した電気・電子回路の製作実習や特性測定などを通じて、電気・電子工学の基礎理論から応用技術までのアウトラインを学びます。
機械工学では、ものづくりの基本である機械部品・機構の設計プロセス、材料選択、強度計算、製作法などを学習します。3年次で機械工学実習を行い、手動機械の操作およびものづくりの喜びを体得します。また、コンピュータを駆使し設計・製図を行うCAD及びそれをもとに工作機械を操作するCAMの技術を習得し、メカトロニクス(機械工学と電子工学が融合した技術)の基礎知識を身につけます。
情報工学では、1年次に行われる情報教育関連科目の理解をさらに深めるため、コンピュータの構成と動作原理、プログラミング技術、情報メディアの活用、インターネットの仕組みと構成機器などを学習します。これらに関する講義と演習によって、情報工学の基礎理論から応用技術を修得し、社会や生活における課題を情報工学で解決する方法を体験的に学びます。
栽培学では、畑や室内で栽培植物を育成する実践的指導力を身に付け、動物の飼育技術と作物・水産生物の栽培技術の探究活動を通して、生物育成環境の調節方法などの最適化を図る基礎的な技術を学習します。


家庭

『家庭』では、生活について自然・社会・人文科学などの立場から総合的に学び、社会環境の変化による複合的な生活の問題に対応できる専門的な資質・能力をもった人材を育成することをめざしています。
具体的には、家族関係学、生活経営学(家庭経済学を含む)、保育学、被服学、食物学、家庭科教育学、生活情報処理などを学び、3年次からの専門セミナーでは授業で学んだことを総合化する力をみがくとともに専門的な知識を深め、卒業研究につながるよう課題に取り組みます。教育現場では、意欲的に家庭科を担当する教員を強く望んでいます。また、『家庭』で身につけた力は、家庭科を担当する上でのみならず、小学校の生活科や小・中学校の「総合的な学習の時間」を担当する上でもいかんなく発揮されることでしょう。
卒業後の進路には、幼・小・中・高等学校の教員のほか、消費者問題や社会福祉等に関する教育や指導の道、地域活動での活躍の道などが開かれています。また、教員としての資質向上や教育実践能力の向上、あるいは専門知識・研究を深めるなどのために、本学大学院へ進学する道も開かれています。
人の生活にかかわる様々なことがらや問題に興味と関心を持ち、「学びたい」という意欲のある学生には最適な教育・研究の場です。

領域

・国語
・英語
・社会
・数学
・理科
・音楽
・美術
・保健体育
・技術
・家庭
 
※詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.juen.ac.jp/080faculty/010school/index.html