大学の特長、沿革・歴史

筑波大学は我が国における大学改革の先導者であることを強く意識し、建学の理念に基づき、あらゆるボーダーを越え、研究教育の多様な分野で世界を牽引し、海外の有力大学に比肩する競争力を実現する。多様な格差や分断が顕在化する予測不能な時代において、筑波大学は怯むことなく「あるべき未来」を自ら描き、大学及び社会の停滞や固定化を打破する。新しい日常を築き、社会を変革させていくエンジンとして、学問の自由を共有できるパートナーとともに新たな学問分野の創成とトランスボーダー教育モデルを確立し、我が国のみならず世界に対するソーシャルインパクトを生み出す。こうした社会的役割を通して、アカデミアとして未来社会の基盤となる"GLOBAL TRUST※"の創出を目指し、以下の目標を掲げる。

  1. 世界の競争と共創の環境の中で、国際的求心力を高めるとともに、新しい時代を支えるGLOBAL TRUSTの創出という役割を果たす真の総合大学を実現する。

  2. 自然と人間、社会と文化に係る幅広い学問分野における専門性を深めつつ、多様な分野の協働により地球規模課題の解決に挑む新たな学問分野を創成し、卓越した知の創造拠点として世界トップクラスに比肩する研究を展開する。

  3. 世界から多様かつ優秀な学生を受け入れるとともに、幅広い最先端の研究成果に裏打ちされ、学生の個性と能力を開花させる教育手法を確立し、主体性・社会性を基盤として未来を創り出す力を生涯にわたって養い、世界で活躍できる人材を育成する。

  4. 我が国最大のサイエンスシティである筑波研究学園都市の総力を結集し、世界に冠たる実験フィールドとするための中核的役割を担い、我が国のグローバル競争力強化に貢献する未来都市の創成を牽引する。

  5. 持続的な成長を支えるため、学長のリーダーシップの下、社会とのエンゲージメントを前提とした財源の多様化を含め、強固な経営基盤を確立する。併せて、デジタルトランスフォーメーションやヒューマンエンパワーメントの推進により、活力にあふれたマネジメント体制を構築する。


※GLOBAL TRUST:個人と個人、個人と社会(あるいは組織など)だけでなく、社会と社会(あるいは組織と組織、国と国など)まで含めた信頼関係。
私たちを取り巻く環境は、激変するグローバル社会の中で、混乱の度合いを増しています。グローバル社会の中では、汚染物質や感染症、金融危機やテロリズムなどを例に取るまでもなく、問題は国境を超えて瞬く間に広がっていきます。エネルギーや環境の問題、産業と経済の活性化の問題など、解決すべき課題は地球規模で共有しなければならない問題であり、解決に向けては従来型の発想を越えたイノベーションが必要です。

筑波大学は、1872年に明治政府によって我が国で最初の高等教育機関として創立された師範学校から東京教育大学に至る歴史の上に、1973年に「新構想大学」として生まれ変わりました。本学に根ざす人材育成マインドは「師魂理才」と表現されています。師魂理才とは、親や先生のように人に接する心や人々をまとめる力を持ち、かつ合理的な問題解決の才能を持つことを意味しています。本学らしいコンセプトをグローバル社会に発生している課題と合わせて考え、本学のミッションは、師魂理才をもって、地球規模課題の解決と未来地球社会の創造に向けた知を創出するとともに、それを牽引するグローバル人材を育成することであると考えています。

本学は、あらゆる面で「開かれた大学」という建学の理念のもと、従来の観念に捉われない「柔軟な教育研究組織」と次代の求める「新しい大学の仕組み」を率先して実現するために、「不断の改革」を進めてきました。本学の前身である東京高等師範学校の校長であった嘉納治五郎氏は近代柔道の父として名を知られていますが、それ以上に重要なことは日本の高等教育を国際社会に開いた先駆者であったということです。また本学は総合大学としては他に例を見ない幅広い学問分野を有しており、専門分野を深化させながら、新たな学際・融合的な教育研究を積極的に開拓してきました。激動するグローバル社会においては大学の機能を再構築する必要がありますが、我々はそのための大学改革を先導する責任を自覚しています。

大学には、教育、研究、およびそれを基盤とした社会貢献が求められています。研究学園都市で新構想大学として出発した本学は、先端的な研究教育拠点、知の国際連携活動拠点としてはもとより、つくばの人材育成拠点として、産官学協同の拠点として発展してきました。本学は持てる力を結集して、地域と地域社会、国と国民、世界と人類の公益に資する開かれた大学として、常に新しいことに挑戦していきます。

本学は緑あふれる恵まれた自然環境の中にあり、多様な価値観を尊重する大学です。そして、IMAGINE THE FUTURE.という言葉に託した未来への想像力を発揮して、創造的であり、個性的であり、国際性豊かな知の拠点としてリーダーシップを発揮し、国際的に存在感のある大学として積極的に発言し、国際社会に貢献していきます。

筑波大学長 永田 恭介(略歴)
筑波大学は、東京教育大学の移転を契機に、そのよき伝統と特色を生かしながらも、大学に対する内外からのいろいろな要請にこたえるため、わが国ではじめて抜本的な大学改革を行い、1973年(昭和48年)10月に「開かれた大学」「教育と研究の新しい仕組み」「新しい大学自治」を特色とした総合大学として発足しました。本学は大学改革の先導的役割を果たしつつ、教育研究の高度化、大学の個性化、大学運営の活性化など、活力に富み、国際競争力のある大学づくりを推進しています。


1962.9
・東京教育大学、5学部の統合移転候補地の調査を決定

1963.9
・研究学園都市を筑波地区に建設することを閣議了解

1967.9
・筑波地区への移転予定機関として、東京教育大学等 36機関を閣議了解

1969.11
・文部省に筑波新大学創設準備調査会を設置

1970.5
・筑波研究学園都市建設法成立

1971.6
・東京教育大学、「筑波新大学に関する基本計画案」を決定

1971.7
・筑波新大学創設準備調査会、「筑波新大学のあり方について」文部大臣に報告

1971.10
・文部省に筑波新大学創設準備会を設置

1972.5
・筑波研究学園都市に新設移転する研究教育機関として、筑波新大学(仮称)等 42機関を閣議決定
国立学校設置法施行規則の一部を改正する省令(昭和47年文部省令第19号)により東京教育大学に筑波新大学創設準備室を設置

1973.10
・国立学校設置法等の一部を改正する法律(昭和48年法律第103号)により筑波大学を設置
・第一学群、医学専門学群、体育専門学群及び附属図書館をもって開学
・三輪知雄、学長に就任

1975.4
・第二学群、芸術専門学群、大学院修士課程及び大学院博士課程を設置

1976.8
・宮島龍興、学長に就任

1976.10
・附属病院を開院

1977.4
・第三学群を設置

1978.3
・東京教育大学を閉学

1978.10
・医療技術短期大学部を併設

1980.4
・福田信之、学長に就任

1986.4
・阿南功一、学長に就任

1989.4
・大学院修士課程に夜間開講の専攻を設置

1992.4
・江崎玲於奈、学長に就任
・大学院博士課程において連携大学院方式(第一号連携大学院方式)を実施

1996.4
・大学院博士課程に夜間開講の専攻を設置

1998.4
・北原保雄,学長に就任

2000.4
・大学院博士課程の改組・再編に伴い,数理物質科学研究科,システム情報工学研究科及び生命環境科学研究科を設置

2001.4
・大学院博士課程の改組・再編により、人文社会科学研究科、ビジネス科学研究科及び人間総合科学研究科を設置

2002.4
・大学院修士課程において連携大学院方式(第一号連携大学院方式)を実施

2002.10
・国立学校設置法の一部を改正する法律(平成14年法律第23号)により図書館情報大学と統合
・図書館情報専門学群及び大学院博士課程図書館情報メディア研究科を設置

2004.4
・国立大学法人法(平成15年法律第112号)により国立大学法人筑波大学を設置
・岩崎洋一,学長に就任
・数理物質科学研究科の改組・再編
・大学院博士課程において連携大学院方式(第二号連携大学院方式)を実施(数理物質科学研究科物質・材料工学専攻)

2005.4
・ビジネス科学研究科専門職学位課程設置
・システム情報工学研究科の改組・再編
・生命環境科学研究科の改組・再編
・大学院博士課程において連携大学院方式(第二号連携大学院方式)を実施(生命環境科学研究科先端農業技術科学専攻)

2006.4
・人間総合科学研究科の一部改組・再編
・教育研究科の一部改組・再編

2007.4
・学群の改組・再編により、人文・文化学群、社会・国際学群、人間学群、生命環境学群、理工学群、情報学群及び医学群を設置
・生命環境科学研究科の一部改組・再編
・人間総合科学研究科の一部改組・再編

2008.4
・人文社会科学研究科の改組・再編
・人間総合科学研究科の一部改組・再編
・教育研究科の一部改組・再編

2009.4
・山田信博、学長に就任
・人間総合科学研究科の一部改組・再編

2011.4
・生命環境科学研究科の一部改組・再編
・新たな教員組織「系」を設置

2011.12
・グローバル教育院を設置

2012.4
・数理物質科学研究科の一部改組・再編
・生命環境科学研究科の一部改組・再編

2013.4
・永田恭介、学長に就任
・人間総合科学研究科の一部改組・再編

2014.4
・システム情報工学研究科の一部改組・再編

2015.4
・人文社会科学研究科の一部改組・再編
・大学院課程において協働大学院方式を実施

2016.4
・人間総合科学研究科に共同教育課程を設置

2017.9
・生命環境科学研究科に国際連携専攻を設置
・人間総合科学研究科に国際連携専攻の設置

2018.4
・研究センター等の再編

2020.4
・学士課程に総合学域群を設置
大学院研究科の改組・再編により,人文社会ビジネス科学学術院,理工情報生命学術院,人間総合科学学術院を設置し,学位プログラム制に移行

2020.10
文部科学省が、第4期中期目標期間における指定国立大学法人として指定

※創基からの沿革図等詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.tsukuba.ac.jp/about/outline-history/