大学の特長、沿革・歴史

開学の理念

 鳴門教育大学は,1981年に「教員のための大学」を理念とする新構想の大学として開学しました。教員の養成だけでなく,大学院において現職教員の教育を行う新構想の大学として設立されたのです。以来,わが国の教師教育(教員養成と現職教員教育)を先導する研究と実践を蓄積してきました。
 初代学長の前田嘉明は,「環境は物言わぬ教師である」との考え方のもと,キャンパスづくりに意を尽くしました。本学に来ていただければ,学業に専念するに相応しい,美しく整備されたキャンパスであることが実感していただけるものと思います。
 鳴門教育大学は,自然環境,文化的環境にも恵まれています。本学は,瀬戸内海国立公園に隣接した風光明媚な土地に位置しています。大学近くの鳴門海峡では,雄大な渦潮を見ることができます。鳴門には四国八十八箇所巡礼の第一番札所である霊山寺(りょうぜんじ)もあります。国際的な名画の複製陶板を一堂に集めた,大塚国際美術館も近くにあります。


ミッション

 本学は,「よい教師を一人でも多く」育て,社会に貢献することを最大のミッションとしています。教師教育におけるトップランナーとして,卓越性と先進性を倦(あぐ)むことなく追究しています。本学の強みは,教職員が,一人ひとりの学生を教師として丁寧に育てることに一体となって取り組んでいることです。本学の教員養成の卓越性は,平成22年からの12年間のうち10回,学部卒業生の教員就職率全国第1位を達成し他の年度もトップレベルの位置を占めていることからも明らかです。


多様な人々が交流するキャンパス

 本学は小規模な大学ですが,キャンパスは多様な人々が交流し学び合う場となっています。本学には全国から現職の教員が大学院に入学しています。経験の豊かな現職教員とこれから教員になろうとする学生が共に学び合う機会がふんだんに設定されています。また,JICAからの留学生(開発途上国の教員ならびに教育関係者)も多数受け入れており,開発途上国の教員や教育関係者と交流する機会も日常的に設けられています。
 学生を指導する教員も多様です。それぞれの専門分野で優れた研究を行っている研究者教員,学校等で豊かな実務経験をもつ実務家教員が,教師教育の充実に向けて協働しています。さらに,学生は支援スタッフ(アドバイザー,コーディネイター)からも,教師としての実践的な能力の向上に向けた個別的な指導を受けることができます。
 以上のように,本学は,よい教師を育てるための教育環境,教育指導体制を整えています。


鳴教で育てる教師

 次に,鳴教が育てようしている教師像についてお伝えしておきます。
 これからの社会は大きく変化していきます。ICTが急速に進展するだけでなく,多様な人々との相互理解と協働が必要とされる社会となります。教育も大きく変わっていくことでしょう。
 鳴門教育大学では,ICTの利活用やダイバーシティ(多様性)に対する理解など,これからの教師が取り組まねばならない課題に対応したカリキュラムを開発し,教師を育てていきます。
 さらに,鳴門教育大学は,さまざまな課題に主体的に取り組み,そのなかで教師としての自己の姿を探究し,自らの成長を図ることのできる教師を育てたいと考えています。教師としての学びを主体的に続けることで,教師としての自己を育てる教師(自己伸長型教師)です。教師が直面する課題の多くは,何が正解かがわからないものです。例えば,標準的な指導方法では算数の問題が解けない子どもについて考えてみましょう。このような子どもに教師としてどう関わり指導すればよいか,正解があるわけではありません。教師は誠実にこの子どもに向き合い,その子どもの実態を理解し,どう関わるべきかを構想し実践していくことになります。標準的な指導方法を実践したにもかかわらず,できないから「仕方ない」としてしまうのではなく,この子どもが分かるようになるために探究と実践を主体的に繰り返すことにより,子どもも教師も成長する機会を得ることができるのです。このように正解が見えない課題に対して,自ら探究し課題の解決に向けて取り組むことができる教師を鳴門教育大学では育てて行きます。
 このため,鳴門教育大学では,学生が自己の学びと教師としての在り方をしっかりと捉えることを可能とする「教員養成に特化したDX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進します。そして,「DX」とこれまでの鳴教の強みである「面倒見の良い」指導体制とを組み合わせて駆動させ,次世代の教員養成のモデルをつくり,「よい教師を一人でも多く」育てるという鳴門教育大学のミッションを達成していきます。


学び続ける教師を支える大学でありたい:遠隔型教職大学院

 「教師としての学びを主体的に続けていくこと」こそが,これからの教師に求められる姿です。
 鳴門教育大学の教職大学院には,教育委員会からの派遣により現職教員が多数学んでいますが,高い学修ニーズを持ちながらも教育委員会による大学院派遣が難しい現職の先生方も多数おられます。学校や家庭の事情などによって大学院への派遣が難しい方々,私立の学校(幼稚園を含む)にお勤めの方などです。
 教員のための大学として設立された鳴門教育大学は,教育委員会派遣による学修機会だけでなく,「働く教師のための教職大学院」というコンセプトのもと,働きながら無理なく教職大学院で学ぶことのできる教育プログラムを開発し提供することとしました。この教育プログラムは,働きながら学ぶことの難しさを考慮したものであるだけでなく,働きながら学ぶことのメリットも活かすものです。鳴門教育大学の教職大学院遠隔教育プログラムは,柔軟な履修形態,大学院生の個々の課題にきめ細かく向き合い指導を展開する伴走型指導,学修上の問題や不安に丁寧に答えるアドバイザーの配置など,働く先生方の学びを支える体制を整えています。同時に,働きながら学ぶメリットを活かし,教職大学院での学びと日々の実践をつなぐ指導も組み入れ,理論と実践の「融合」を目指します。


時代に先駆ける教師教育モデル

 鳴門教育大学の教育で,もう一点お知らせしておくべきことがあります。
 それは,四国地域の国立5大学が連携して,教員養成教育(教職課程)の一部を相互に活用できる体制を整えたことです。県境を越えて四国の5国立大学が連携し,全体として魅力的で豊かな教職課程を構成する試み(連携教職課程の設置)です。
 具体的には,美術,家庭,高校情報,の3教科では,鳴門教育大学で提供する授業科目だけでなく,香川大,愛媛大,高知大,徳島大が提供する授業を履修することが可能となります(令和5年度入学生から。また取得しようとする免許状の教科によって他大学履修可能科目は異なります)。
 これによって,鳴門教育大学の学生は,四国の他の国立大学が提供する魅力的な授業科目を履修することができるようになります。


教師教育のトップランナーとして

 これまで述べてきましたように,鳴門教育大学は,「よい教師を一人でも多く」育てるというミッションを着実に実現するために,教師を志望する学生や社会人及び現職教員のいずれについても,先進的かつ卓越した教師教育を開発実践していきます。そのことを通して,わが国の教師教育のトップランナーとして社会に貢献する大学でありたいと考えています。

国立大学法人鳴門教育大学長 佐古 秀一
  本学は,「21世紀におけるグローバル社会を主体的に生きる人間を育成し,文化の創造及び国家・社会の発展に貢献する大学-教育に関する高度な専門性と実践的指導力を身につけ,豊かな個性をもった教師を養成する-」をモットーに,21世紀に活躍する教員の養成を行っています。
 変化の激しい現代の学校教育において,教員には,子どもに「生きる力」や「自ら学び,自ら考える力」を育むことが強く求められています。この「生きる力」の育成という観点から,教員に必要な資質・能力としては,教員としての使命感と人間愛に支えられた豊かな教養,教育の理念と方法及び人間性に対する多面的な深い理解,教科の専門的知識が求められます。それとともに,変化する時代に対応できる具体的な資質・能力としては,地球的視野に立って行動する力,コミュニケーション能力,教科指導・生徒指導の知識や技能などが求められます。
 本学の目指しているものは,教科の内容を十分に指導できると共に,いじめや不登校,学級崩壊にも対応できる資質・能力をもった教員を養成することです。そのために,専門的知識を習得するだけでなく,実践力の強化に力を入れています。実践力を身につけるには,大学の勉強だけでなく,実際に子どもとふれあう機会を持つことが大切です。本学では,附属学校・園における教育実習に加え,鳴門市内の公立学校・園における教育実習も実施しており,十分な実践力が身に付くようにつとめています。
 また,大学院学校教育研究科(修士課程及び専門職学位課程)をもつとともに,兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程)にも,構成大学として参加しており,学部を卒業した後,さらに教員としての資質・能力をたかめる環境も整っています。

鳴門教育大学の目標と今日的課題

目標

 21世紀に生きる人間として豊かな教養を培い,地球的視野に立って総合的に判断できる力量の形成に努めるとともに,教育者として子どもに対する愛情と教育に対する使命感を醸成し,教育に関する専門的知識を深め教育実践力を身につけることによって,専門職としての教員を育成することを目指す。


今日的課題

 鳴門教育大学は幼児教育及び義務教育の教員を養成する学校教育学部と主として現職教員に高度な研究・研鑽の機会を確保する大学院学校教育研究科をもち,学部と大学院を通じて教員を育成するための専門大学である。

 学校教育に携わる教員は子どもの育成に責任をもち,学校における教育課程に従って意図的計画的に教育活動を展開しているが,子どもの教育という重要性に照らして,先ずもって教員自らが幅広い人間性をたえず陶冶しなければならないのである。これなくしては子どもの人間形成に従事するための基本的な資質に欠けるものと言わざるを得ない。教員は優れた人間性を基盤として教育に関する専門的知識や指導力を身につけ,子どもの育成のために実践することを職務とする。子どもの育成に際してはたえず人間としての在り方についての探求を行い,より望ましい方向に子どもを導き高次の価値を得させることを目指している。

 子どもの教育は現代社会の状況の中で行われるものであるので,社会の変化やそれに伴う子どもの変化によって起因する様々な教育課題から教育活動を切り離すことはできない。そこで,真の教育活動を展開するためには現代社会の動向や子どもの心的状況を的確に把握し,それぞれが投げ掛ける課題を解決し得る能力の涵養が現代の教員に要請されていることに留意しなければならない。

 それでは先ず,現代社会の動向とそれによって起こされた教育課題とは何であろうか。

 20世紀後半からの世界的動向として,国際化,科学技術の進展,情報化等が加速しているが,他方,環境問題等の地球的問題群が噴出し,これらに対応した在り方や問題の解決が緊急の課題になっていることが指摘できる。大学審議会答申では21世紀初頭の社会状況を展望して「不透明な時代」と予想している。これは,社会の変化が進行し,事態は流動的であり必ずしも安定した時代は未だ到来しないであろうという見通しを示している。とはいえ,地球的規模での経済・文化交流は拡大し,国際社会はますます相互依存の度合いを深めていくであろう。他方,環境・資源・人口等の地球的問題群が深刻となり,それらの解決にあたっては国際社会の協力を必要とし,理念的には人間と人間,ないしは人間と自然との共生の考え方が大切になってくる。科学技術の進展や情報化の進展は新しい産業構造への変化をもたらし社会の発展に大きく資することになった。しかし,科学技術や情報科学と人間の心情や感性との調和を図ることに留意する必要がある。また,社会においては高い倫理性が要求されることとなる。

 このように変化の激しい社会において必要なことは,自ら課題を発見し自ら考え正しく判断して問題を解決することによって主体的に生きる力を身につけることである。それとともに,他人と協調し,他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性をもった社会の形成者を育成することである。そして,これからの人間は伝統的文化を継承するとともに新しい文化を創造する能力をもち,21世紀のグローバル社会を支え発展させるだけの力量を備えなければならない。

 大学審議会答申はこうした未来予測のもとにより豊かな社会を拓くため学術研究の進歩を促すとともに,学際化・総合化を図ることの必要性を指摘し,大学における『知』の再構築を提起している。

  この大学審議会答申はそのまま学校教育に当てはまるのである。すなわち,教育課程審議会は社会の国際化や情報化,科学技術の発達や環境問題等,現代社会の急激な変化に対して,主体的に立ち向かいこれら諸問題と人間社会や人間そのものとの関連について考え,これからの社会や人間の在り方を探究する態度を養う必要性を認識している。その結果,従来の教科,道徳・特別活動に加えて新しい教育活動として「総合的な学習の時間」を創設することを提起した。この教育活動では教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習を展開することとなるが,これはまさに,“総合の知”を求める学習であると言うことができる。

 こうした知の総合化による問題の解決能力は,現代社会を生きる力として教育上重要な位置をしめることになってきたのである。

 他方,最近の子どもの行動の異変から起こる問題が大きくクローズアップされるようになり,新たな教育問題として解決がせまられていることに注目しなければならない。

  近年,子どもの生活や遊びの変化,身体の発達や心の変化に由来する問題,学校における「いじめ」・「不登校」などの「教育病理」,さらには校内暴力や学級崩壊などの「学校荒廃」等に教員一人一人がどのように対峙していくべきかということが問われている。これら教育問題の解決に当たっては教員が自ら胸襟を開き,子どもへの共感的理解を深め,子どもが心を開くまでねばり強く接近していくことが大切になる。そのために,精神や心理の科学的手法を応用したり,カウンセリングの心と技法を駆使するとともに,人間的な教育指導を伴う必要がある。

 また,学校において教員と子ども,子ども同士の好ましい人間関係をつくり,子どもに分かる授業を工夫することによって学級や学校が温かみのある教育環境となるように努力することが大切になる。また,学校は家庭や地域社会と連携を密にし,協力しながら子どもの育成を図るように留意しなければならない。

 現代の教員はこれまで述べたように現代社会の動向や子どもの状況が投げ掛ける諸問題に適切に対処できる資質・能力・心情を必要としているのである。学校教育においては大部分の時間を教科の授業に当ててきたが,複雑な社会や子どもの心的状況を視野に入れ,相互関連的に知をはたらかせ,心を交流させて問題を解決するための時間をいままで以上に取るように心掛けねばならない。

 したがって,教員養成に際しては,従来からの座学を主とする教育課程を改め,子どもとの触れ合いや教育実践を重視した教育活動に比重をかけ,教育課題を解決する能力を伸ばすようにすることが要請されている。

 鳴門教育大学は,学生を教員として育成するに当たって,人間教育の基本を踏まえながら上記のような社会や子どもの変化のもたらす今日的課題に応えることのできる教師を育てるためここに教育目標を設けることとした。
 教員には,教育者としての使命感と人間愛に支えられた豊かな教養,教育の理念と方法及び人間性に対する多面的な深い理解並びに教科・領域に関する専門的学力,優れた教育技術など,専門職としての高度の資質能力が強く求められている。

 本学は,このような社会的要請に基づき,主として現職教員に高度の研究・研鑽の機会を確保する大学院と,初等教育教員及び中学校教員の養成を行う学部をもち,学校教育に関する理論的,実践的な教育研究を進める「教員のための大学」及び学校教育の推進に寄与する「開かれた大学」として昭和56年10月1日に創設された新しい構想の国立大学である。昭和59年4月に大学院(修士課程)の1期生を迎え,学校教育学部の1期生が入学したのは,昭和61年4月である。
 鳴門教育大学は,日本の未来を背負う若者を育てる教員として,豊かな人間性と教育に対する使命感を育成し,教育に関する深い専門的知識と教育実践力を身に付けた「専門職としての教員」(小学校教員,中学校教員,高等学校教員,特別支援学校教員,幼稚園教員,保育士)を育成するため,次のような皆さんの入学を期待しています。

1.教育に対する熱意と使命感を持っている人
2.子どもの成長を喜び,将来,教員として子どもの教育に関わりたいという強い意志を持っている人
3.優れた洞察力と豊かな個性・行動力を持った人
4.教員を目指す上で十分な基礎学力を身に付けている人
5.知識や技能を活用して論理的に物事を考え,志望する専修・コースが対象とする課題を解決するために粘り強く探求できる人
6.豊かなコミュニケーション能力を持ち,多様な人々と協働して様々な問題に積極的に取り組める人

入学者選抜方法
 上記のような人を求めるため,一般選抜(前期日程及び後期日程)と学校推薦型選抜(T型及びU型)により,各専修・コースごとに入学者の選抜を行います。
 教員になるために必要な資質と能力を多面的・総合的に評価する入学者選抜方法として,全ての受験者に面接を課すとともに,各専修・コースごとに小論文や実技検査を課す等,多様な入学者選抜方法により入学者の選抜を行います。

※選抜方法等詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.naruto-u.ac.jp/e-ouen/02/001.html

お問い合わせ
教務部入試課学部入試係
電話:088-687-6133
ファクシミリ:088-687-6138
E-Mail:nyushigakubu@naruto-u.ac.jp