生物資源科学部環境共生科学科 吉岡秀和 助教が国際会議ICSDWE2021でBest Oral Presentation Awardを受賞

 国際会議The 4th International Conference on Sustainable Development of Water And Environment(ICSDWE2021,新型コロナウィルスの流行状況を鑑みてオンライン開催)において,環境共生科学科 吉岡秀和 助教がBest Oral Presentation Awardを受賞しました。

受賞対象となった口頭発表
Yoshioka H. and Hashimoto S.: Analytical approach for sustainable multi-objective management of sediment-algae dynamics.

 この発表は,日本を含む世界の様々な河川で実施されている「土砂還元」の数理モデルとその解析に関するものです。土砂還元は,人為的な影響で土砂の流れが減少した河川に対して外部から土砂を投入する事業です。土砂の流れが減少すると,河川の環境が自然状態から著しく外れ,水圏の環境や生態系が崩れるとともに,漁獲量の減少を含む漁業ひいては人間生活への深刻な影響が生じます。
 土砂還元では,いつ,どの量の,どのような土砂を投入すべきかが大きな問題となりますが,これは河川や事業目的ごとに全く異なります。したがって,様々な状況に対応できる理論的枠組みの構築が強く求められています。そのためには,数理的な接近手法が自ずと必要不可欠になります。
 この発表における大きな成果は,複数の事業目的(土砂が枯渇しないよう還元したい,コストを低く抑えたい,河床の更新を促したい,等)の折衷案を見つける「多目的最適化」の概念に依拠する,土砂還元の新たな数理最適化モデルを構築したことです。とりわけ,モデルの簡素さを追求しつつも,不連続力学系,特異な確率測度,非局所・非線型である退化楕円型偏微分方程式の解の最適性という,確率解析や最適制御における数理概念を駆使して課題解決を前進させた点が大きな特徴です。

 土砂還元に限らず,人間と環境の共存を目指す事業には,規模に関わらず,ごく自然に最適化の要素が含まれています。しかしながら,必ずしもその理論が整備されているわけではありません。今後も引き続き,数理科学の観点を交えながら,人間と環境の共存に資する研究が継続される予定です。

 発表成果は後日,Springer社から出版の書籍に収録される予定です。


写真1:実際の土砂還元の様子(2021年3月11日,斐伊川にて吉岡秀和が撮影)


写真2:賞状

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