生物資源学部風間裕介教授らの研究グループが日本植物形態学会「平瀬賞」を受賞しました!

福井県立大学生物資源学部の風間裕介教授、大学院博士前期課程2年の鬼頭萌さん(研究当時)、大学院博士前期課程1年の小林壮生さん(研究当時)らの研究グループが、日本植物形態学会「平瀬賞」を受賞しました。平瀬賞は、イチョウの精子を発見した植物学者である平瀬作五郎の功績を称えて創設され、1996年に彼の発見から100周年を迎えたことを記念して名付けられた賞です。この賞は、植物形態学の進歩に寄与する独創的で優れた論文に対して授与されます。

風間教授らは雌雄異株植物であるヒロハノマンテマを対象に研究を行ってきました。ヒロハノマンテマは雄花と雌花を別々の個体につける植物で、ヒトと同様にXY型の性染色体を持ちます。XX染色体を持つ個体は雌に、XY染色体を持つ個体は雄になります。Y染色体上には、おしべを伸ばす性決定遺伝子とめしべの発達を抑制する性決定遺伝子が存在するとされてきました。このY染色体が発見されたのは1923年のことでした。発見から99年目にして、風間教授らはY染色体上にめしべの発達を抑制する性決定遺伝子GSFYを同定しました。一方、X染色体にはGSFYとは反対に、めしべの発達を促進する遺伝子が存在することが判明しました。これらの発見は、植物の性決定においてY染色体とX染色体が協力して雄性を決定する進化の過程を示すものであり、植物学および進化学において極めて重要な成果です。

風間教授らの長年にわたる研究成果をまとめた論文が日本植物形態学会において高く評価され、平瀬賞の授与が決定されました。授賞式は令和6年9月13日(金曜日)に、日本植物形態学会第36回大会にて行われました。


表彰式の様子(右が風間教授)




〇平瀬作五郎とは・・・
福井藩士である平瀬儀作の長男として生まれ、藩校明新館(現・藤島高校)で学びました。彼は世界で初めてイチョウの精子を発見したことで知られ、その功績は国際的に評価されています。当時、精子を作る植物はシダ植物やコケ植物などの下等植物に限られ、種子植物は花粉が花粉管を伸ばして受精するため、精子を持たないとされていました。その中で、イチョウが精子を持つという平瀬の発見は、世界中の植物学者に大きな驚きを与えました。この発見は、NHKの連続テレビ小説『らんまん』でも取り上げられました。

(関連リンク)
令和6年度日本植物形態学会3賞受賞者(日本植物形態学会ホームページ)
https://square.umin.ac.jp/pl-morph/pages/sansho.html

巨大Y染色体発見から99年目の快挙―ヒロハノマンテマの性決定遺伝子の同定に成功―(2022年10月7日)
https://www.fpu.ac.jp/news/d154691.html


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