学長メッセージ

平成16年に国立大学が独立行政法人化されてから19年が経過し、令和4年度からは第4期中期目標期間に入っています。愛媛大学は、第4期中期目標期間において、「地域を牽引し、グローバルな視野で社会に貢献する教育・研究・社会活動を展開する」というビジョンを掲げ、さまざまな活動を展開しています。組織的には、それぞれの学術領域の教育研究を担う7つの学部と、地域にある大学としての機能を担う4つの機構(教育・学生支援、先端研究・学術推進、社会連携推進、国際連携推進)とによって、地方大学の役割を果たしています。

現在、少子化による人口減少、地球環境問題の深刻化という中長期的課題に加えて、頻発かつ激甚化する自然災害、新型コロナウイルス感染症など、本質的かつ深刻な問題が私たちの前に立ちはだかっています。また、ロシアによるウクライナ侵攻によって、人々は「21世紀にもこんなことが起こるのだ」と憤り、そして、平和や人権、民主主義など「世界が共有できるはずだった価値観」が失われつつあります。  今後、人類は、「Sustainableな(持続可能な)社会」「Resilientな(復元力のある)地域社会」を早急に構築する必要があります。そのためにも、私たちは、SDGs、DX(デジタルトランスフォーメーション)、カーボンニュートラル、ジェンダー平等などに取り組む必要があります。

愛媛大学における学生教育については、「学生は、今後60年間を生き続けなければならない」ことを再認識し、そして、学生には、新たな社会システムに柔軟に対応し、自分の生き方や働き方を自身で設計・実行できる「自立した個人として生きていく能力」「さまざまな災害から自らを守る力」「科学的知識と論理的思考によって近未来を想像できる力」「他の人にビジョンを語れる力」を身に付けて欲しいと考えています。
研究面においては、幅の広い多様な研究をベースとしつつ、先端的学術研究を推進するとともに、地方国立大学として、それらの研究成果を社会実装化し、地域産業のイノベーションに繋げる必要があります。

愛媛大学は、地域に立脚する国立大学として、有為な若年人材の輩出と学術の振興という大学としての基本機能に加え、地域産業のイノベーションへの参画、社会人へのリカレント/リスキリング教育、起業や複業、リモートワークなど働き方の多様化への係わり、知的財産の活用と産学官金民連携による新産業の創出、地域文化の再評価と発信など、さまざまな取組みによって地域創生に貢献し、「地域における知の拠点」としての機能を果たしていきます。地域及び地域産業のDX推進を担うデジタル人材の育成も、取り組むべき喫緊の課題です。また、Afterコロナ社会になりつつある中で、諸外国との学生及び研究交流も戻りつつあります。
「大学の存在意義の1つは、実際の社会の変化に先んじて、価値観やこれからの社会の在り方を示すことである」との議論があります。少子化による人口減少によって、今後、確実に、社会は縮小していきます。この「縮小しつつある」中でも、私どもが幸福を感じられる社会に変革していく必要があります。

私の考える愛媛大学の基本方針は、組織のDiversity(多様性)化によって、全世代対応型の「地域における知の拠点」としての多機能化を進め、Sustainableな社会、Resilientな地域社会の構築に貢献することです。そのため、社会の変化やステークホルダーからの期待をセンシティブに認識し、大学として必要な対応策にタイムリーに取り組むことを目的として、令和4年4月に、全学組織として「総合戦略府」を設置しました。また、研究成果の社会実装や知的財産化によって、経営力を強化する必要もあります。
最後に、これからも、愛媛大学、そして、愛媛大学のさまざまな取組みをご支援いただきますよう心よりお願い申し上げます。

愛媛大学長  仁科 弘重