奏楽堂

概要

 明治23年に創設されて以来、音楽教育の練習、発表の場として永く使用されてきた旧東京音楽学校奏楽堂は、建物の老朽化が進み、また、音楽の演奏形態の拡大等に対応できなくなってきたため、昭和59年に解体し、その後、上野公園内に移築再建されました。

 東京藝術大学奏楽堂は、コンサートホールとして新しく建設されたものです。ホール全体が一つの優れた楽器として、調和のとれた響を生むものとして考え、音響特性を使用目的に応じて変えられるよう、客席の天井全体を可動式にして音響空間を変化させる方法を採用しています。

 また、古典から現代作品を演奏出来るフランスのガルニエ製オルガンを設置してあります。


東京藝術大学奏楽堂を建設するに当たっての基本コンセプト

(1) 音楽教育・研究の場としての機能と音響効果・設備を重視し、特に音響特性において卓越したものとすること

(2) 音楽教育の研究の現状および将来における発展を考慮したものとすること

(3) 我が国芸術文化の発展に寄与するため、日本音楽界のシンボルとなり、後世まで誇り得るものとすること

(4) ただし、教育・研究の場に徹し、いたずらに華美になることを避け、上野校地の要となり、周囲の環境と調和した格調ある施設を目指すこと

(5) ホールは、パイプオルガンを備えたコンサートホールを主体とし、管弦楽、弦楽合奏、管打合奏、オペラ、合唱、邦楽、室内楽、器楽、声楽ソロ、パイプオルガン演奏、試験等の用途に対応でき、それぞれの使用目的にかなった最適な音響特性(残響時間・初期反射音)を持つものとすること


建築概要

名称
東京藝術大学奏楽堂

所在地
〒110-8714
東京都台東区上野公園12-8

敷地面積
32,336.21平方メートル

主要用途
多ジャンルの演奏形式に対応するコンサートホール・講堂

建築面積
2,169.82平方メートル

延べ面積
6,539.83平方メートル

最高高さ
27.00メートル

軒高
24.50メートル

構造
鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄筋コンクリート

外装仕上
レンガ積み、一部コンクリート打ち放しフッ素樹脂塗装

ホール内装仕上
床:フローリング
壁:準不燃木製パネル
天井:GRC板 厚30mm

階数
地下2階・地上5階

設計
東京藝術大学施設課
株式会社 岡田新一設計事務所

音響設計協力
株式会社 永田音響設計


施設内容(ホール)

形状
シューボックスタイプ

座席
1,100席(1階956席、バルコニー席144席、オーケストラピット使用時978席)

残響時間
1.7〜2.4秒(天井可変装置により変更可能)

空調騒音
NC-20以下

舞台機構
・可変天井(客席部天井3分割、可変高さ 最低10.8m〜最高15.8m)
・主舞台(13.5m×21.4m、開口幅19.8m)
・オーケストラピット(4.8m×18m、2分割、4管編成対応、昇降手摺、前舞台として使用可能)
・幕類8枚(文字幕、ホリゾント幕等)
・バトン類10本(照明、道具用等)
・迫り ひな段(間口12m×奥行き5.2m、4分割電動式)、道具迫り(間口16.0m×奥行き2.0m)
・可動フロセ二アム(間口15.5m×高さ12m(可変8m〜15m)×奥行き9.5m)
・各種照明設備
・各種音響設備
・各種舞台映像設備

パイプオルガン
製造 フランス、ガルニエ社製
仕様 3手鍵盤、足鍵盤、ストップ数76

楽屋
小楽屋3室、中楽屋2室、大楽屋3室

その他
スタッフルーム2、グリーンルーム、楽器庫、調光室、音響調整室、ホール用化粧室(女性用22個、男性用6+14個)他