畜産科学課程

畜産科学課程は,獣医・農畜産融合の視点から,農場から食卓まで生命・食料・環境を科学し,農畜産の幅広い分野で活躍する専門職業人の育成を目的としています。

生命科学分野から畜産現場まで実践的に学ぶ

ウシやウマ等家畜の飼養管理、繁殖や改良、乳肉の生産・利用について、分子から生体までの知識を習得するとともに、実習を通じて実践的技術を学ぶことで生命科学分野から畜産現場まで幅広く活躍できる人材を育成します。

家畜生産科学ユニットの主要な科目

家畜栄養学T

栄養素の化学的特徴、消化、吸収、代謝等の栄養学の基礎知識を概説し、さらに、各種家畜の栄養学特徴、飼料の栄養価の評価法、家畜の栄養素要求量の測定法等の解説を通して、家畜への飼料給与を科学的に行うための基礎理論と応用技術の理解を深めます。

家畜生体機能学T・U

家畜の各器官・組織の構造とその機能について、肉眼的及び組織学的構造を理解するとともに、生理的機能の概要について理解することを目標とします。さらに、家畜人工授精師(牛)及び認定牛削蹄師の資格認定に必要な牛の雌雄生殖器及び蹄の構造と機能について理解することを目標としています。

家畜育種学T

家畜を遺伝的に改良する場合の科学的知識を学びます。量的形質、質的形質をしっかりと理解し、それら形質の遺伝的支配を知ります。また、改良目標を設定し、親となる種畜を選び(選抜方法の決定)、最適な組み合わせで次代を得る(交配方法の決定)などについて学びます。

取得可能な資格

●学芸員任用資格
●家畜人工授精師(牛)
●認定牛削蹄師
●バイオ技術者認定受験資格
●高等学校一種免許状(農業) ※理科は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●食の安全や農家の経営サポート等を行う公務員
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●食品会社、製薬会社の研究職
●飼料製造・販売業
●乳業会社
●JICAやNGO等の職員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる

持続可能な農畜産業と生命科学分野の未来を探る

多様な生物群(哺乳類,鳥類,昆虫,植物,微生物等)を含む生態系の仕組みを学び,農畜産環境とそれを取り巻く自然環境の関係を理解し,環境の保全と管理を考えながら,持続可能な農畜産業とこれからの生命科学分野で活躍できる人材を育成します。

環境生態学ユニットの主要な科目

環境微生物学

生態系において微生物は重要な存在であり,大きな影響を人間の生活に及ぼしています。環境問題,持続可能な農業の確立,食の安全の維持を考える上で必要不可欠な微生物に関わる知識を広く理解出来るように解説します。

植物生態学

植物の形態や行動は自然選択の結果であること,及び光合成や繁殖等の各項目について生理学的な仕組みを解説し,それらが進化・適応の立場から理解できることを説明します。また,農畜産業をとりまく森林生態系が食糧生産に果たす役割の重要性と気候変動によって受ける影響の予測について解説します。

動物生態学

動物生態学における重要な基本概念を,個体,個体群,群集,及び景観といった異なる生物学的階層ごとに具体例とともに解説します。また,生態学的なリスク管理に動物生態学が果たす役割についても概説します。


取得可能な資格

●学芸員任用資格
●高等学校一種免許状(理科) ※農業は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●環境コンサルタント関連企業
●博物館学芸員
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●食と安全と環境を守る公務員
●JICAやNGO等の職員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる

食品製造から研究・開発までを担う人材を育成

食品の一次機能(栄養成分とエネルギー)についての教育を基礎に,食品の二次機能(おいしさや食感)を学ぶ加工・利用学分野,三次機能(生体調節や健康)を学ぶ機能科学分野を総合的に理解し,農畜産物を素材とした食品製造から研究・開発までを担う人材を育成します。

食品科学ユニットの主要な科目

食品化学

食物と食品素材の化学特性(食品成分の組成,構造及び物性)ならびに加工・貯蔵における成分変化の機構と制御について,食品の有する3つの機能(栄養機能,感覚機能及び生体調節機能)の視点から概説します。

食品工学

食品工業で行われている各種単位操作のうち,殺菌,加熱・乾燥,濃縮,冷却・冷凍,伝熱,自動制御等の理論の解説及び応用面からの具体例を示して説明します。それにより食品工学の重要性について理解を深め,食品工学に関する知識を実際の応用場面で使用できるよう解説します。

食品栄養学

人間が生産活動を行うためには各種類の栄養素が含まれる食品の摂取は必須であり,その食物中に含まれる栄養素の生体内での動態を,消化・吸収形態,エネルギー代謝及び生理機能等の役割について高等動物における基本的な生命現象を担う種々の生体機能について説明します。


取得可能な資格

●学芸員任用資格
●食品衛生監視員任用資格
●食品衛生管理者任用資格
●バイオ技術者認定受験資格
●高等学校一種免許状(理科) ※農業は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●食品関連企業
●製薬関連企業
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●バイオサイエンス関連企業
●食の安全を守る公務員
●JICAやNGO等の職員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる

生産から消費までを社会科学的に考察

農畜産物の生産から加工・流通・消費に至る過程を,経済学を中心とする社会科学的なものの見方や知識から総合的に把握し,地域や世界の農業・フードシステムが抱える課題に対応できる人材を育成します。

農業経済学ユニットの主要な科目

農業資源経済学

農業や農業技術に関する知識を基礎に,食料・農業・農村にかかわる諸問題を経済学のさまざまな応用理論を用いて解説します。

農業経営学

日本の農業経営・農家の動向を理解し,農業経営・農家の行動を理解するための基本的な概念,諸法則等を講義します。また,農業経営者が直面すると考えられるさまざまな課題の中で,近年特に注目されているものを具体的な事例に即して取り上げ,その背景にある技術的・経済的要因を解説します。

国際開発経済学

開発途上国が経済発展してゆく過程を,農業生産性の向上を基軸に理解することを目標とし,開発理論,人的資源,人口移動,国際貿易の問題等,経済発展に伴う諸問題と発展戦略について経済的視点から講義します。


取得可能な資格

●学芸員任用資格
●高等学校一種免許状(農業) ※理科は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●食品製造企業・食品流通企業
●農業普及指導員
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●食の安全や農家の経営サポート等を行う公務員
●JICAやNGO等の職員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる

環境に配慮した先進的農業の発展をめざす

農業農村工学や農業システム工学を主とする理論に基づき,先進的農業と環境保全を両立させるために必要な技術体系を学び,農業の基盤づくりや高度な農業機械分野で活躍できる人材を育成します。


農業環境工学ユニットの主要な科目

農地農村整備学

農産物生産のための水環境工学を調整する灌漑排水,農産物の生産基盤である農地の整備及び生活基盤である農村の環境整備について学びます。

循環型環境システム学

農畜産業は従来,「植物・動物・人間」の関係を維持させ生態系の均衡を保持してきたが,需要に対応するために歪みが生じ生産活動から生ずる副産物は許容限界を超え地球規模で環境や衛生全般に影響を与えるようになりました。これらの要因として農畜産業におけるエネルギーの利用形態が大きな問題となっています。本授業では農畜産業とエネルギーの関連と再生可能エネルギーの導入について講義します。

生物生産機械・環境工学

生物生産における農業機械や畜産施設、スマート農業およびバイオマス利用や持続可能な農畜産業を実現などに関する生物生産環境工学の基本的な概要を理解し、生物生産機械の技術体系ならびに生物生産環境工学に関連した資源循環や環境問題に対する課題と解決法へのアプローチを習得します。


取得可能な資格

●学芸員任用資格
●高等学校一種免許状(農業) ※理科は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●環境・建設コンサルタント関連企業
●コンピュータ・IT関連企業
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●機械製造・販売企業,一般機械・施設関連企業
●土木建設会社
●食の安全と環境を守る公務員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる

土壌から作物の生理,生態,育種までを総合的に学ぶ

日本の食料基地である北海道・十勝の立地条件を活かし,作物生産を支える土壌と病害虫を含めた栽培環境から,その環境で育つ作物の生理,生態,育種までを総合的に理解できる専門職業人を育成します。

植物生産科学ユニットの主要な科目

食用作物学

わたしたちの主要な食料であるイネ・コムギ・ジャガイモ等の食用作物について,その起源・伝播・生産・利用と植物学的特性及び作物学的特性について解説します。さらにそれら作物の改良に利用されている遺伝育種,生理,バイオテクノロジーの基礎的知識を教授します。

植物生産土壌学

作物の生産基盤である土壌を対象に,土壌の成り立ちや分類,構成成分,化学性,物理性,生物性等の基礎的な原理と特徴について概説します。また,植物栄養学に係る基礎的な事項についても説明します。さらに土地利用や農業利用による土壌特性の違い,土壌診断技術とその結果に基づく施肥管理の手法等,作物生産に係る応用的な技術と関連させて講義します。

植物育種学

栽培植物の栽培化の歴史について学び,実際の育種法である遺伝変異の分離と組合せによる育種法,そして新たな遺伝変異を創出する育種法を教授します。本講義を通して,育種に関する幅広い知識を習得し,育種方法及びその理論的背景を理解することを目標とします。


取得可能な資格

●学芸員任用資格
●高等学校一種免許状(理科) ※農業は他ユニット科目履修を要する


主な進路

●農作物のタネ・肥料の開発
●農業普及指導員
●農畜産の生産者や農協等の農業団体
●植物バイオサイエンス関連企業
●食の安全と環境を守る公務員
●JICAやNGO等の職員
●高等学校教員になって未来へつなげる役割を担う
●大学院へ進みさらに研究を重ねる