卒業生インタビュー
農業に関わる人たちを支援して、石川県の農業を盛り上げたい
石川県庁(2016年卒業/女性)現職を志望したきっかけや理由をお聞かせください。また現在の仕事内容をお聞かせください。
生まれも育ちも石川県なので、進学も就職も石川県内でと考えていました。大学では勉強やサークル、ゼミなど大変おもしろく充実した時間を過ごすことができました。この4年間の経験や広く学んだ知識が活かせて地元にも貢献できる仕事がしたいと思い、石川県庁技術職の採用試験を受けました。現在の仕事は、主に、新規就農や移住就農を考えている方の相談に乗ったり、就農したての方に技術や知識を学んでもらう研修を実施したりしています。現在の部署では、新規就農者から農業経営者まで幅広く支援しているため、それぞれのステージで抱える課題や対応した政策の勉強が、まだまだ必要だと感じています。また、相談業務では年齢や職業など様々な立場の方とお話しするため、農業以外の業界や社会常識など、相談者の方からも学ぶことがたくさんあります。
在学中に学んだ事、印象に残っているエピソードをお聞かせください。
入学したての頃が一番印象に残っています。オリエンテーションで先生方がシラバスの説明をしてくれるのですが、高校で文系を選択していた私には専門用語が全然理解できず、私、卒業できるのか?と愕然としました。(周りは頷きながら聞いていてまたびっくり)そのため、卒業まで、必要な単位以外も幅広く受講しました。恥ずかしい話ですが、数Vや化学・物理はあまり得意では無く、理系の同級生の高校教科書を譲ってもらい並行して勉強しました。4年生のゼミでは「遺伝育種学」の研究室に入りましたが、実際に圃場に入って作物を育て観察する作業とデータを分析する作業、両方学べた点が良かったと感じています。
大学での学びがどのように役立っているかをお聞かせください。
大学のカリキュラムは基礎から幅広く網羅された構成になっており、初心者のステップアップを体系立てて支援してくれるおかげで、無事卒業することができました。先生方も快く質問に答えてくださいますし、図書館やパソコンルームなど自身で勉強できる環境もしっかりと整っていて、助かりました。現在の業務では、新規就農希望者の方に農業の基礎を学んでいってもらう研修を担当することもあり、カリキュラムの作成や講義の段取り・目的を考える際に、大学の環境が一つの指針になっていると感じています。
受験生や在校生へのメッセージをお願いいたします。
社会人になっても、まだまだポンコツで我ながら情けないですが、職場や周りの皆さんに助けてもらいながら、日々トライ&エラーで楽しく仕事ができています。いま学生時代を振り返って皆さんに伝えたいことは、大学の休みの期間を利用して、是非、仕事としての農業の現場を体感してほしいということです。それは、大学での学びと仕事の現場を結びつけることで、深く情報収集ができ、自身の大学での目的をよりはっきりできると感じているからです。石川県立大学は、少人数ならではの充実した支援体制が整った大学です。先生方や就職支援課を訪ねるのは、最初は恥ずかしいし気おくれもしましたが、失敗も含めて色々なリターンがある環境を用意してくれたから飛び込めたのだと思います。4年間、本当にありがとうございました。
途上国が抱える農業の課題を解決し、生活改善に貢献したい
日本工営株式会社(2020年卒業/男性)現職を志望したきっかけや理由をお聞かせください。また現在の仕事内容をお聞かせください。
きっかけはカンボジアのトンレサップ湖を対象とした研究調査に携わったことです。トンレサップ湖は毎年大洪水が発生する特殊な湖です。現地を訪れた際に、大勢の人が湖面に浮かべたボートの上での厳しい生活を余儀なくされている様子を目の当たりにしました。この経験を通じて、発展途上国の人々の生活改善に貢献したいと思うようになり、開発コンサルタントを志しました。途上国が抱える農業に関する課題は広範囲に及ぶため、勉強の毎日です。
在学中に学んだ事、印象に残っているエピソードをお聞かせください。
カンボジアのトンレサップ湖を対象に人工衛星画像の解析から湖の水循環を観測する研究を行いました。この研究では、主にGIS(地理情報システム)を用いて、衛星画像に写る湖面と木々のある陸地との数値パラメータの違いを分析しました。GISソフトの利用方法を学び、さらに、作業自動化のためのプログラミング技術を学びましたが、うまく作動させるために多くの時間を要しました。毎日、プログラムを修正する地味な作業が続きましたが、うまく作動したときの感動は忘れられません。
大学での学びがどのように役立っているかをお聞かせください。
開発コンサルタントは発展途上国の課題解決のために様々な知識と技術が求められますが、大学で学んだGISソフトを用いた解析は役立っています。例えば、現状分析の基礎となる土地情報の更新、水田エリアの推定、栽培面積の集計、農家の行動範囲の図式化などです。新型コロナウイルスの影響で、途上国での直接的な調査が困難となっているため、日本国内からのリモート作業の重要度が増しています。そのような背景もあり、GIS技術の需要が高まっていると感じています。