本学研究グループが参加した蜂蜜の異同識別の試験所間比較の結果が、国際学術雑誌に掲載されました

 このたび、本学システム科学技術研究科修了生の須藤 百香さんと、川島 洋人 准教授(経営システム工学科/環境鑑識学研究室)が参加した蜂蜜の異同識別の試験所間比較の結果が、国際学術雑誌『Journal of AOAC INTERNATIONAL』に掲載されました。

雑誌名: Journal of AOAC INTERNATIONAL
論文タイトル:Results of an Interlaboratory Comparison of a Liquid Chromatography – Isotope Ratio Mass Spectrometry Method for the Determination of 13C/12C Ratios of Saccharides in Honey
(訳:蜂蜜の糖類の炭素安定同位体比の測定のためのLC/IRMSの試験所間比較の結果)」という研究が国際学術誌「The Journal of AOAC INTERNATIONAL」に掲載されました。
著者:Eric Aries, Oliver De Rudder, Georgios Kaklamanos, Alain Maquet*, Franz Ulberth
DOI:doi/10.1093/jaoacint/qsab091/6373899

【研究内容】
 欧州委員会(European Commission)の共同研究センター(Joint Research Centre,JRC)の食品偽装チームのチームリーダーであるAlain MAQUET博士らによって、液体クロマトグラフ/安定同位体比質量分析計(LC/IRMS)を使った蜂蜜偽装のための試験所間比較が行われました。
 蜂蜜は現在、AOAC(Association of Official Analytical Chemists)による公定法(AOAC Official Method 998.12)によって、蜂蜜自体と蜂蜜中のタンパク質の炭素安定同位体比を分析することで、糖類の混入(偽装)を識別しています。しかし、識別出来るのは、C4植物由来の糖類(コーンシロップなど)のみであり、C3植物由来の糖類(ライスシロップ)の混入は見分けることは出来ません。そのため、C3植物由来の偽装が相当の割合であるのではないかと危惧されています。
 近年、開発されたLC/IRMSを用いることで、糖類の成分ごとの炭素安定同位体比分析が可能になり、C4植物由来の糖の混入を1%まで識別することが出来るようになりました(従来手法では7%)。また、今まで見分けることが出来なかったC3植物由来の糖においても混入を10%まで見分けることが出来るため、有力なツールとして国際的に利用され始めています。今回、チェコ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本の大学や分析機関などの14の研究機関を対象に試験所間比較を行いました。日本では秋田県立大学のみが参加しました。その結果は、一定の分析精度が維持されていることが分かりました。
 今後は、今回の結果を基に、LC/IRMSによる分析法がAOACの公定法になる可能性もあると思われます。

【須藤さんのコメント】
 2017年11月にJRCのAlain MAQUET博士、Eric Aries博士から川島先生まで試験所間比較にお声をかけて頂きました。蜂蜜やシロップなどのサンプル8種が送付され、すぐに分析に取り掛かりました。年末年始でバタバタしておりましたが、 2018年2月に無事に結果を報告することが出来ました。精度も非常に良好であり、他の研究室や研究所に比べても遜色ない結果とのことでした。また、このような結果が論文という形でまとまり非常に嬉しくホッとしています。
 今年の4月からは、千葉県にある公益財団法人日本分析センターにて働いております。環境放射能や放射線の分析や調査、研究を行う国内で唯一の公益財団法人です。私は、食品や環境試料の炭素、窒素等の軽元素安定同位体分析に従事しており、大学時代に学んだ安定同位体の技術を活かしながら仕事をしております。


学会にてポスター発表の様子


JRCより送られたブラインドサンプル


現在の須藤 百香さん

 なお、川島研究室では、蜂蜜に関しては、LC/IRMSの安定した改良法を提案した論文や国内外116種類の蜂蜜の異同識別を行った論文、二次元LC/IRMSを用いた蜂蜜中の有機酸の安定同位体比を分析した論文の合計3報の報告を行いました。(下記記載のとおり)

〇Hiroto Kawashima*, Momoka Suto, Nana Suto (2018), Determination of carbon isotope ratios for honey samples by means of a liquid chromatography/isotope ratio mass spectrometry system coupled with a post-column pump, Rapid Communications in Mass Spectrometry, vol.32, pp.1271-1279
→詳細はこちら(外部リンク)

〇Hiroto Kawashima*, Momoka Suto, Nana Suto (2019), Stable carbon isotope ratios for organic acids in commercial honey samples, Food Chemistry, vol.289, pp.49-55
→詳細はこちら(外部リンク)

〇Momoka Suto, Hiroto Kawashima*, Nana Suto (2019), Heart-cutting two-dimensional liquid chromatography combined with isotope ratio mass spectrometry for the determination of stable carbon isotope ratios of gluconic acid in hone, Journal of Chromatograph, 460421
→詳細はこちら(外部リンク)

【川島 洋人 准教授の研究室はこちら】(外部リンク)

関連リンク
本学システム科学技術学部 川島 洋人 准教授の研究室