大学の理念と目標

理念

格致(かくち)によりて 人と社会の未来を拓(ひら)く
近代福井の礎(いしずえ)を築いた松平春嶽公の揮毫による本学所有の「格致」の額面は、同人の歴史的功績を考えれば本学の宝であると言えます。「格致」とは「物事の道理や本質を深く追求し、理解して、知識や学問を深め得ること」という意味です。
本学学生にとっては、学びと人格育成に際し、また教職員においては、研究・教育・社会貢献等で自らの指針となる語句です。我々は、この語句を旨とし、県内より世界に至る様々な地域において、そこに集う人、ならびに社会の未来を拓くことに主体的にかかわり、貢献することを目指します。

福大ビジョン2040

T 2040年における国内外・福井県の状況

少子高齢化の結果、日本の人口は減り続け、2040年には高齢化率35%とほぼピークに達し、団塊ジュニア世代はすべて65歳に達する大きな曲がり角を迎える。中央教育審議会の平成30年11月の答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では、18歳人口は88万人に減少し、現在の7割程度の規模となる。教育の質の維持向上の観点から高等教育機関の規模は適正化され、社会人及び留学生の受入れ拡大が謳われている。
社会に目を向けると、第4次産業革命ともいわれるSociety5.0(超スマート社会)の時代が到来し、一方では、健康寿命が世界一の長寿社会を迎え、人生100年時代となる中、生涯を通じ切れ目のない学び直しの場が提供されている。
さらに、グローバル化が進展し、新型コロナウイルス感染症の収束後はアジアをはじめとする新興国の経済成長により、アジアを中心とした資源の流動性は益々拡大していく。
地方に目を向ければ、福井県の人口は2040年には64.7万人にまで減少すると推計される。本県では、めぐまれた豊かな自然や文化、その中での子育て・教育、独創的な産業への充実した雇用などの基盤の良さを最大限に発揮し、大きな課題である人口減少を知識集約型社会の構築により、乗り越えようとしている。
さらに、誰一人として取り残さない世界を目指す持続可能な多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標(SDGs)達成のための取組の推進と、全ての人が必要な教育を受け、その能力を最大限に発揮できる社会の到来とともに、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆるカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現が期待される。
このような将来を見据え、福井大学は、理念に謳う「格致によりて人と社会の未来を拓く」大学となるため、大きな転機である約20年後の2040年における本学の在るべき姿を広く共有し、将来にわたり、これまで以上に、地域の知の拠点としての責務を果たせるよう、以下に未来像を示す。

U 2040年における福井大学の未来像

◆世界に通じる地方総合大学
バーチャルキャンパスも含め、学生、外国人留学生、社会人など、老若男女の多様な人々が多様な目的を持って多様な方法で学ぶとともに、その学びは、オンライン教育により世界とアクセスし、無限大に広がっている。またハイレベルの研究上の強み・特色が次々と生み出され、それらの分野を中心に国内外の大学、機関との結びつきを一層強め、国際社会で一目置かれる大学となっている。一方、地域においては、地域連携プラットフォームを通じて県内の高等教育機関と協働し、知の拠点機能を総合力で飛躍的に高め、人材育成やイノベーション創出等の成果を発揮し、地域共創を推進している。

◆社会から頼りにされる、活力ある大学
独自技術を持つ企業の集積、最多の原子力発電所、子どもの高学力、健康長寿、幸福度日本一等の福井県の特徴も踏まえたひとづくり・ものづくり・ことづくり、地域医療と地域教育の拠点機能、産学官金連携活動などを通して、地域の様々なステークホルダーと共創し、地域を持続的に成長させ、魅力ある地域創りの核になっている。また、本学の教職員、学生は、ここで働くこと、学ぶことにプライドをもち、今を活き活きと過ごしている。

V 福井大学の未来像に向けたミッション

1.教育
@ 深い実践的教養を備える卓越高度専門職業人の育成
Society5.0の時代にしなやかな存在感を発揮できる、SpecialistでもありGeneralistでもある卓越高度専門職業人(プロフェッショナル、匠)として、学生が生涯にわたり自らの力を伸長できるよう、課題解決能力や数理データサイエンスを活用できる能力等を十分身に付けた人材を分野横断的に育成する。
このために、学部を超えた多職種連携教育、異分野融合教育、数理データサイエンス教育等を推進し、単なる知識の習得に留まらない実践的教養を培う教育プログラムを構築するとともに、教学マネジメント等学びの質保証を強化し、大学院レベルの創造性・専門性を主体とする教育を向上させる。
A 学生のキャンパスライフの質の向上
キャンパスは、学生が学び、交流し、人間として成長していくのに重要な場であるとの認識の下、デジタル技術を駆使したハイブリッド型教育への転換により学生が意欲的・主体的に学ぶことのできる学生中心のキャンパスを実現する。
このために、学生と教職員が共に議論する体制を強化し、学生の声を反映した教育改革を推進する。
B 学びの母港構築により人生100年時代へ対応
教育県にある国立大学の使命を果たすため、「学びの母港」を地域に構築、展開し、地域との人的往還により高度専門職業人の生涯にわたる職能成長を支えるとともに、リタイア世代の社会活動へのリクルートを促し、社会の活性化、健康寿命の進展に貢献する。
このために、本学と産業界との連携等により、地域社会との双方向での卓越高度専門職業人の育成・交流とキャリア強化教育(リカレント/リスキリング教育)を合わせ、多様な学びの機会を提供する。

2.研究
@ 福井に根ざした人類知の創出
新しい知を生み出し、文化的・社会的・経済的価値に結びつける。
このために、福井の自然、歴史、文化、社会、産業を探究し、得られた知見を全国やアジア、さらには地球規模に普遍化する。
A 世界に通じる研究の推進とイノベーション創出
研究における新たな強みの創造とさらなる先鋭化(子どものこころ、分子イメージング、原子力工学、遠赤外領域、繊維・マテリアル等)を推進し、イノベーションを創出する。
このために、学内外の連携(医教連携、医産工連携、農工連携等)を強化し、新しい研究分野(新興イメージング開発、人間研究開発等)を開拓するとともに、社会的課題解決型研究を推進する。
B 若手研究者の育成の実質化
すべての領域において、若手研究者の挑戦的、分野横断的な研究を推進する。あわせて、生活基盤の安定化を図る。
このために、研究ファームの拡大等、若手研究者が活躍できる研究環境の整備支援を強化する。

3.国際化
国際化先進県を目標とする福井県において、世界と伍する教育研究環境の構築を目指すとともに、自らを国際化し、かつ世界との往還の迅速化により地域の国際化を牽引するために「福井と世界を結ぶゲートウェイ」を立ち位置として、国際化戦略を推進する。
このために、本学の国際化では、欧米の大学はもとより、アジア・アフリカを重点地域とした交流促進と国際展開等を推進し、地域の国際化の牽引では、地域企業の海外進出支援や外国人留学生の受入れ・県内定着の促進等に取り組む。

4.地域共創
自治体、企業、他大学等との連携により、地域活性化の中核拠点としての機能・役割の一層の強化に努め、地域における特色ある多様な活動を通じて地域の魅力を引き出し多面的に社会に貢献する。また、県内唯一の国立大学として、各人が望む教育を等しく提供し、県内高校からの志願者増と卒業後の地元定着を目指す。
このために、ふくいアカデミックアライアンス(FAA)及び未来協働プラットフォーム福井による自治体・産業界等との密接な連携の下、地域の知の拠点としての機能を強化する。また、多面的に社会貢献に取り組み、医療においては少子・高齢化社会における地域医療の展開、医療のDX化等に取り組む。

5.SDGs
気候変動や感染症等の地球規模の課題から人口減少等の地域課題まで、社会・地域が対峙する様々な課題に対し、本学が果たすべき役割を再認識し、持続可能な社会の実現に寄与することを目指す。
このために、持続可能な開発目標(SDGs)の考えを積極的に取り入れた本学の諸活動を推進する。

6.カーボンニュートラル
カーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)に寄与するため、研究成果の社会実装化を図り、自治体とカーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)に寄与するため、研究成果の社会実装化を図り、自治体と連携した地域のゼロカーボンのみならず、キャンパスのカーボンニュートラルの実現に加えてグリーン人材の育成を目指す。
このために、本学の研究資源を駆使することで自立・分散型エネルギーシステムの構築からグリーンビジネスの提案まで幅広い研究を展開する。

7.経営マネジメント
@ 適切な学部・大学院の体制・規模の確保
大学院を中心に、社会の動向、地域ニーズ、本学の役割等を踏まえた組織や規模の見直し、各学部・大学院・センター、あるいは各専門分野における他大学との連携による強み・特色の強化により、本学の未来像を実現できる体制・規模の整備を目指す。
このために、県内の大学、自治体等との連携強化を進め、地域の現状や課題と将来予測を共有し、課題解決に向けた取組を推進する。
A 総力的大学経営
学長のガバナンスの下、大学構成員がそれぞれの担当部署のプロフェッショナルとして、プライドを持ち活き活きと活動出来る環境を構築し、大学の力量を最大限に発揮するとともに、地域との相互交流により大学の総合力を高める。
このために、地域連携プラットフォーム等のもと、様々なステークホルダーとのエンゲージメントを積極的に構築するとともに、教職協働を推進する。さらには、安定的な経営基盤構築に資するため、外部資金等の獲得にも努める。
B ダイバーシティの推進
多様な人々の個性、特性、価値観が十分に活かされ、一体感を持って学ぶ・働くことのできる環境の構築を目指す。このために、性別、性的指向や性自認、障がいの有無、年齢、文化、宗教、信条、国籍などの多様性を尊重し、平等な機会確保、一体感を醸成する経営マネジメントを推進する。