大学の特長

一橋大学の概要

社会科学を先導する大学

一橋大学の大きな特色として、第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学系研究大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。
2023年4月には、社会科学とデータサイエンスを融合させることにより、社会科学の視点から、情報技術の進展及びDXに貢献できる人材を輩出することを目的として、ソーシャル・デ ータサイエンス学部を開設しました。


ゼミナールを核とする少数精鋭教育

第2には、ゼミナールを核とする少数精鋭教育が挙げられます。ゼミナールとは、担当教員の指導のもと、特定のテーマについて、発表や討論を行う授業であり、「講義」とは異なり学生が自発的に参加することが大変重要です。一橋大学は、このゼミナールを教育の中心としてきた長い歴史を有し、ゼミナールを必修としていること、平均7~8人程度の少人数で行われていることが本学ならではの特色と言えます。


卓越した人材の輩出 Captains of Industry

第3は、全国の大学の中でも、就職については特に恵まれていることです。2023年度(2024年3月)卒業生の就職率は95.9%です。これは一橋大学の出身者が常に産業界のリーダーとして活躍してきた実績によるものであり、卒業生との縦のつながりの強さを立証するものであります。また、大企業・優良企業への就職者のみならず、国家公務員など各種国家試験で多数の合格者を輩出しており、法科大学院修了生の司法試験累計合格率も高い水準を維持しています。


充実した図書館

第4は、附属図書館です。全国の国立大学図書館では数少ない例ですが、中央図書館に図書、雑誌等資料を集中化しており、資料分散型図書館に比べて情報アクセスの利便性が格段に高くなっています。図書約209万冊、約1.7万タイトルの雑誌、データベース約70種、電子ブック約29万タイトル、電子ジャーナル約3.5万タイトルを利用できます。


自然環境に恵まれた美しいキャンパス

第5は、自然環境に恵まれた美しいキャンパスです。国立駅から真っすぐ伸びる大学通りを挟みクヌギ、アカマツ、コナラなど武蔵野の雑木林に約53種の野鳥が生息している貴重な緑が広がる国立キャンパス(30万m2)があります。
正門を入ると中央に西欧風庭園があり、それを囲み築90年を超える歴史的な建物である図書館時計台棟、兼松講堂、本館と緑豊かな自然が調和し独特の景観を造り出しています。
また、この緑地を維持管理するため、OB・OG、学生、教職員が三位一体となって月1回整備作業を行い、「魅力あるキャンパス」を次世代に継承しています。


多様なニーズに対応した大学院教育

第6は、大学院教育が充実していることです。修士課程では、@研究者養成の第一段階としての役割、A高度専門職業人の養成、B市民の多様なニーズに基づく高度な学習需要に対応し、従前の修士論文の作成とは異なりコースワークの遂行を重視する教育の導入も行われています。
博士後期課程では、創造性豊かな優れた研究及び開発の能力を持って、研究・教育機関の中核を担う研究者、あるいは、研究能力と教育能力を兼ね備えた大学教員を養成することを趣旨とされてきましたが、近年では、研究・教育機関ばかりでなく、企業経営、ジャーナリズム、行政機関、国際機関などの多様な場で、中核として活躍することが期待される人材を輩出しています。
専門職学位課程では、法科大学院、経営管理研究科国際企業戦略専攻(MBA)、国際・公共政策大学院が存在し、いずれも、国際的に通用する高度で専門的な知識の付与と能力の開発を目的としています。また、社会人などの多様な学修者を受け入れることを通じて、社会全体の流動性の向上と活性化への貢献を目指しています。


強力な大学支援組織「如水会」

第7は、卒業生とのつながりがきわめて強いことです。2025年に創立150周年を迎える一橋大学の卒業生をまとめ、大学と卒業生との強固なつながりを築いてくれているのが、同窓会組織である「如水会」です。設立から100年以上の歴史をもつ如水会は、単なる同窓会組織にとどまらず、母校支援組織として様々な形で大学の教育研究活動を支えています。例えば、如水会の援助を受けて1987年に発足した「一橋大学海外派遣留学制度」では、これまでに1,800名以上の学生を海外に派遣しています。また、兼松講堂や如水会百周年記念インテリジェントホールといったキャンパス内の施設の改修・整備も、如水会の協力があったからこそ実現できました。加えて、大学と連携して広く募金活動を展開し、多くの卒業生から寄附という形で支援を得ることができています。この他にも、如水会は国内外に数多くの支部をもち、その広いネットワークを通じて同窓生を支えています。このように、如水会を中心とした卒業生とのつながりは、一橋大学の大きな強みとなっています。


Captains of Industry

"Captains of Industry"はイギリスの思想家にして歴史家、トーマス・カーライル(Thomas Carlyle1795~1881)が1843年に著した『Past and Present』(邦題『過去と現在』)に求められます。"Captains of Industry"つまり、国際的に通用する産業界のリーダーたり得る人材の育成。これが教育機関として一橋大学が創設して以来、使命としてきたものです。1875年に森有礼が私設した商法講習所の時代から一橋大学は、単に西洋式の「商法」-「商い方」を身に付け、即戦力になる人材を供給することだけではなく、"Captains of Industry"にふさわしい実業人の育成を目標としてきました。"Captains of Industry"は、一橋大学の建学理念として今に至るまで語り続けられています。


校章(マーキュリー)の由来

一橋大学の校章「マーキュリー」は、ローマ神話の商業、学術などの神メルクリウス Mercurius(英語名マーキュリー Mercury、ギリシア神話のヘルメス Hermes に対応)の杖を図案化したものです。2匹の蛇が巻き付き、頂には羽ばたく翼が付いています。蛇は英知をあらわし、常に蛇のように聡く世界の動きに敏感であることを、また翼は世界に天翔け五大州に雄飛することを意味しています。

東京商業学校が高等商業学校に昇格した1887年頃に、ベルギーのアンヴェルス(アントワープ)高等商業学校出身の教師アルテュール・マリシャル Arthur Marischal (1857-没年不詳)と教頭成瀬隆蔵の発案により制定され、一般の商業学校とは区別される「高等」商業学校の特別な地位を示す Commercial College の頭文字C・Cが添えられています。

2004年4月1日の法人化を契機に、ユニバーシティ・アイデンティティの確立の観点から校章として2005年に商標登録をおこないました。