学部構成

 時代と社会の変化とともに福祉に求められるものは変化しますが、これまでにない人口減少や少子高齢社会を背景に、人々の生活ニーズは複雑化・多様化しています。そのために、生活の中で生じるさまざまな個別的福祉課題に対処するための実践的で直接的な援助と、それを実現するための制度・政策的アプローチなどの間接的な援助とを統合的に学ぶ必要がさらに高まってきています。社会福祉学科では、個人を対象とした援助からコミュニティ・ケアの領域、また、直接的援助から福祉運営管理・制度政策レベルまで、福祉を統合的に捉え支援するための理論を学び、その実践力を高めることを目指します。

◆福祉政策系
生活者の視点で「社会福祉」を考える
 高齢者や障がいのある人など支援を必要とする人が増える一方で、将来の生活や仕事への不安は若者にも広がっています。福祉政策系では、さまざまな福祉課題への対応に必要な制度・政策を、生活者の視点で考えます。福祉サービスを運営・管理・提供する自治体や専門機関などの組織について理解を深め、それらの連携について研究したり、人と人とをつなぐ福祉システムを作る上で必要な知識と技能を学び、人間への理解力や社会のあり方への判断力の向上を目指します。

◆コミュニティ福祉系
ユニバーサルな福祉社会の実現を目指す
 人々が生活を営む単位には、コミュニティやそれを構成しているさまざまな集団がありますが、共に生きる社会を創るには多くの課題があります。そうした地域の課題を解決するために、情報通信技術や生活環境の創造、地域マネジメントなどの関連領域を含め、すべての人がそれぞれの違いを活かしながら快適な生活を送れるよう、ユニバーサルなコミュニティを実現する方法や技術について学びます。

◆臨床福祉系
その人の望む暮らしを支援する
 社会福祉実践のための理論と技術を修得し、特に直接的な対人援助において必要とされる専門的な能力を養うことを目標にしています。社会福祉の援助をする上で必要な価値観や基礎理論、ソーシャルワーク援助技術、支援の効果測定のための調査・評価方法など、支援を必要としている人に対する社会的・身体的・精神的な側面への理解に基づく、総合的な支援アプローチを学びます。
 複雑化し多様化する福祉ニーズに応えるためには、それぞれの「人」にアプローチすることが重要です。そのためには狭義の社会福祉学に加えて、関連する人間諸科学の方法や技術、知見を学ぶ必要があります。人間福祉学科では、社会福祉の基盤的な学習を行いながら、隣接領域である心理学や発達科学などの諸科学の原理と方法論に基づき、人間の生涯にわたる成長とそれぞれの段階における心理と行動について理解を深め、生活上に発達的・心理的な問題を抱える人々に対して適切な支援をするための知識と技能を習得し、実践力を高めることを目指しています。

◆生涯発達支援系
それぞれの発達段階における課題を考える
 人間が発達するのは子どもの時期だけとは限りません。人は生涯にわたって発達し続けています。しかし、何事もなく発達するわけではなく、人生のいろいろな段階や場面でさまざまな課題に直面することになります。生活する上でたとえバリアがあっても人間らしく生きるための支援のあり方を、子どもから高齢者まで当事者の視点に立って考え、実践することを学びます。

◆福祉心理系
「人」の考察から福祉へアプローチ
 心理学的な考え方と方法をもとに、援助が援助として受け止められ実を結ぶにはどのようなアプローチをとれば良いのか、原理的なところから考えます。また、人の認知や発達、人間関係、臨床・犯罪などの領域に広く目を向け、人間の意識や行動についての理解を深め、福祉に貢献するための知を生み出す方法を修得しつつ、援助のための心理学的知識・技術を学びます。