医学部医学科の学生が、日本高血圧学会総会でYoung Investigator's Promotion賞を受賞!
糖尿病関連腎臓病の発症・進展において、エネルギー代謝障害とレニン・アンジオテンシン系過剰活性化の関与を報告
医学部医学科4年の野村 健太さんが、2024年10月12〜14日に福岡国際会議場で開催された第46回日本高血圧学会総会において、「糖尿病関連腎臓病モデルマウスにおける腎エネルギー代謝障害とレニン・アンジオテンシン系の関連についての検討」というテーマでポスター発表を行い、 Young Investigator’s Promotion(YIP)賞を受賞しました。

受賞者
医学部医学科4年
のむら けんた
野村 健太 さん
指導教員
循環器・腎臓・高血圧内科学
田村 功一 主任教授(市民総合医療センター病院長)
涌井 広道 准教授
小豆島 健護 助教
研究指導員
森田 隆太郎医師
受賞内容
第46回日本高血圧学会総会
Young Investigator’s Promotion(YIP)賞
発表題目
糖尿病関連腎臓病モデルマウスにおける腎エネルギー代謝障害とレニン・アンジオテンシン系の関連についての検討
今回の発表内容について野村さんに解説していただきました。
糖尿病は生活習慣病として現代社会において急速に増加した疾患であり、全身にさまざまな合併症を引き起こします。その重要な合併症の1つとして糖尿病関連腎臓病(DKD:Diabetic Kidney Disease)があり、これは慢性維持透析の原因疾患として非常に重要です。透析導入によって患者さんのQOL(Quality of Life)は大きく変わるため、DKDへの対策が求められています。DKDの病態についてはこれまでレニン-アンジオテンシン系(RAS)*1の関与が示されており、加えて慢性腎臓病と腎臓でのエネルギー代謝障害との関連が近年示唆されてきました。しかしながら、DKDを正確に反映したモデルマウスが少ないため、そのメカニズムの詳細な理解は思うように進んできませんでした。
そこで循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、ATRAP*2というタンパク質やRASに着目して新たなDKDモデルマウスの確立に取り組みました。このモデルマウスの腎機能を評価したところ、ヒトDKDに見られるような腎障害の所見やRASの病的な活性化が認められました。さらに、その腎臓においてはエネルギー代謝障害の存在が示唆され、DKD病態の解明の一助となる可能性があります。
今回当教室のモデルマウスにおいて、DKDの病勢と腎エネルギー代謝障害との関連が示唆されたことで、DKDのさらなる病態解明・新たな治療法の開発につながることが期待されます。
野村さんのコメント
このたびは、このような栄誉ある賞をいただき大変光栄に思っております。私はリサーチ・クラークシップ*3の期間で循環器・腎臓・高血圧内科学教室に配属され、研究に取り組んできました。本格的に研究に取り組むことは今回のこのリサーチ・クラークシップが初めてで、実験手技や論文の読み方、発表資料の作成など基本中の基本から丁寧にご指導いただき、刺激ある日々を過ごさせていただきました。またその研究成果を学会という場で発表することができたことをとてもうれしく思います。本研究に際して、田村功一主任教授、涌井広道准教授、小豆島健護助教、森田隆太郎先生、循環器・腎臓・高血圧内科学教室の皆さま方から多大なるご指導をいただきました。心より御礼申し上げます。
研究指導員 森田隆太郎先生のコメント
野村健太さん、このたびの受賞、誠におめでとうございます。野村さんは文武両道を志す学生に相応しく、熱心に研究に取り組む一方で、卓球部の活動にも積極的に参加していました。また、今後の臨床実習に向けた勉強にも惜しまず時間を費やして励まれていました。今回の学会発表に至る研究成果も、野村さんが誠実に、そして粘り強く取り組まれた成果であると思います。学会発表の際には、研究成果はもちろんのこと、審査員の先生方の関心を引きつける、若々しく将来性を感じさせるプレゼンテーションを披露し、堂々とした発表と質疑応答が行われました。今後の野村さんの益々の活躍に期待しています。
指導教員 田村功一主任教授のコメント
野村健太さん、第46回日本高血圧学会YIP最優秀賞受賞、誠におめでとうございます。この大変栄誉ある賞を、学生でありながら受賞されたことは非常に素晴らしいことです。
循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、1853年黒船来航の横浜・神奈川の歴史に根ざす「門戸開放」、サイエンス・アカデミアの高みをめざす「研究重視」、 地域貢献重点の「患者第一」を理念としています。そして、循環器・腎臓・高血圧内科学教室のモットーは、『ともにめざそう! “心血管腎臓病”病態連関制御を通じた”From molecules to the whole body, and to the Society”実現のための横浜・神奈川発のエビデンス創出』です。また、私自身、医学研究科主任教授と附属市民総合医療センター病院長を兼務していることもあり、教室として医学研究科・国際マネジメント研究科・附属病院および附属市民総合医療センターが一体となっての研究・診療・教育・地域貢献を通じての優秀な医療人材の輩出にも力を入れています。今回、野村健太さんが本賞を受賞したことは、多くの医学生と指導教員にとっても今後の研究活動における大きな励みになると思います。野村さんの今後の更なる飛躍を楽しみにしています。
用語説明
*1 RAS:体内の血圧維持に寄与するシステム (Renin-Angiotensin-system)
*2 ATRAP:生活習慣病増悪因子結合受容体(1 型アンジオテンシン受容体)に直接結合し、その機能を制御する低分子蛋白(AT1 receptor associated protein)
*3 リサーチ・クラークシップ:4年次の15週間、基礎または臨床医学教室に配属され、医学研究を行うもの。医学的課題に取り組むリサーチマインドを身に付けることを目的としている。
医学部医学科
循環器・腎臓・高血圧内科学教室
日本高血圧学会総会
医学部医学科4年の野村 健太さんが、2024年10月12〜14日に福岡国際会議場で開催された第46回日本高血圧学会総会において、「糖尿病関連腎臓病モデルマウスにおける腎エネルギー代謝障害とレニン・アンジオテンシン系の関連についての検討」というテーマでポスター発表を行い、 Young Investigator’s Promotion(YIP)賞を受賞しました。

受賞者
医学部医学科4年
のむら けんた
野村 健太 さん
指導教員
循環器・腎臓・高血圧内科学
田村 功一 主任教授(市民総合医療センター病院長)
涌井 広道 准教授
小豆島 健護 助教
研究指導員
森田 隆太郎医師
受賞内容
第46回日本高血圧学会総会
Young Investigator’s Promotion(YIP)賞
発表題目
糖尿病関連腎臓病モデルマウスにおける腎エネルギー代謝障害とレニン・アンジオテンシン系の関連についての検討
今回の発表内容について野村さんに解説していただきました。
糖尿病は生活習慣病として現代社会において急速に増加した疾患であり、全身にさまざまな合併症を引き起こします。その重要な合併症の1つとして糖尿病関連腎臓病(DKD:Diabetic Kidney Disease)があり、これは慢性維持透析の原因疾患として非常に重要です。透析導入によって患者さんのQOL(Quality of Life)は大きく変わるため、DKDへの対策が求められています。DKDの病態についてはこれまでレニン-アンジオテンシン系(RAS)*1の関与が示されており、加えて慢性腎臓病と腎臓でのエネルギー代謝障害との関連が近年示唆されてきました。しかしながら、DKDを正確に反映したモデルマウスが少ないため、そのメカニズムの詳細な理解は思うように進んできませんでした。
そこで循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、ATRAP*2というタンパク質やRASに着目して新たなDKDモデルマウスの確立に取り組みました。このモデルマウスの腎機能を評価したところ、ヒトDKDに見られるような腎障害の所見やRASの病的な活性化が認められました。さらに、その腎臓においてはエネルギー代謝障害の存在が示唆され、DKD病態の解明の一助となる可能性があります。
今回当教室のモデルマウスにおいて、DKDの病勢と腎エネルギー代謝障害との関連が示唆されたことで、DKDのさらなる病態解明・新たな治療法の開発につながることが期待されます。
野村さんのコメント
このたびは、このような栄誉ある賞をいただき大変光栄に思っております。私はリサーチ・クラークシップ*3の期間で循環器・腎臓・高血圧内科学教室に配属され、研究に取り組んできました。本格的に研究に取り組むことは今回のこのリサーチ・クラークシップが初めてで、実験手技や論文の読み方、発表資料の作成など基本中の基本から丁寧にご指導いただき、刺激ある日々を過ごさせていただきました。またその研究成果を学会という場で発表することができたことをとてもうれしく思います。本研究に際して、田村功一主任教授、涌井広道准教授、小豆島健護助教、森田隆太郎先生、循環器・腎臓・高血圧内科学教室の皆さま方から多大なるご指導をいただきました。心より御礼申し上げます。
研究指導員 森田隆太郎先生のコメント
野村健太さん、このたびの受賞、誠におめでとうございます。野村さんは文武両道を志す学生に相応しく、熱心に研究に取り組む一方で、卓球部の活動にも積極的に参加していました。また、今後の臨床実習に向けた勉強にも惜しまず時間を費やして励まれていました。今回の学会発表に至る研究成果も、野村さんが誠実に、そして粘り強く取り組まれた成果であると思います。学会発表の際には、研究成果はもちろんのこと、審査員の先生方の関心を引きつける、若々しく将来性を感じさせるプレゼンテーションを披露し、堂々とした発表と質疑応答が行われました。今後の野村さんの益々の活躍に期待しています。
指導教員 田村功一主任教授のコメント
野村健太さん、第46回日本高血圧学会YIP最優秀賞受賞、誠におめでとうございます。この大変栄誉ある賞を、学生でありながら受賞されたことは非常に素晴らしいことです。
循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、1853年黒船来航の横浜・神奈川の歴史に根ざす「門戸開放」、サイエンス・アカデミアの高みをめざす「研究重視」、 地域貢献重点の「患者第一」を理念としています。そして、循環器・腎臓・高血圧内科学教室のモットーは、『ともにめざそう! “心血管腎臓病”病態連関制御を通じた”From molecules to the whole body, and to the Society”実現のための横浜・神奈川発のエビデンス創出』です。また、私自身、医学研究科主任教授と附属市民総合医療センター病院長を兼務していることもあり、教室として医学研究科・国際マネジメント研究科・附属病院および附属市民総合医療センターが一体となっての研究・診療・教育・地域貢献を通じての優秀な医療人材の輩出にも力を入れています。今回、野村健太さんが本賞を受賞したことは、多くの医学生と指導教員にとっても今後の研究活動における大きな励みになると思います。野村さんの今後の更なる飛躍を楽しみにしています。
用語説明
*1 RAS:体内の血圧維持に寄与するシステム (Renin-Angiotensin-system)
*2 ATRAP:生活習慣病増悪因子結合受容体(1 型アンジオテンシン受容体)に直接結合し、その機能を制御する低分子蛋白(AT1 receptor associated protein)
*3 リサーチ・クラークシップ:4年次の15週間、基礎または臨床医学教室に配属され、医学研究を行うもの。医学的課題に取り組むリサーチマインドを身に付けることを目的としている。
医学部医学科
循環器・腎臓・高血圧内科学教室
日本高血圧学会総会