理学部の学生(4年)が第51回構造活性相関シンポジウムにてSAR Awardを受賞!

理学部 理学科4年の鍋谷 朋哉さん(指導教員:池口 満徳教授)は、2023年11月20日(月)〜21日(火)にオンラインで開催された第51回構造活性相関シンポジウムにおいてポスター発表を行い、SAR Award(ポスター)賞を受賞しました。



受賞者
理学部 理学科4年
なべたに ともや
鍋谷 朋哉 さん

指導教員
理学部
池口 満徳教授(生命情報科学)

受賞内容
ポスター賞(SAR Award)

発表題目
「スーパーコンピュータ富岳を用いたMDベースのハイスループットスクリーニング」


—今回受賞した研究内容について鍋谷 朋哉さんに解説していただきました。
医薬品開発の初期段階では、計算機上で化合物ライブラリ内の複数の化合物をタンパク質の構造にドッキングさせ、結合親和性のスコアを利用した化合物の選択がよくなされます。ただし、タンパク質を静止した構造として扱うドッキングシミュレーションでは、ヒット率は1%程度と高くありません。生体内でタンパク質は動的であり、水分子も存在するため、動的構造を考慮したスクリーニングプロトコルが求められています。
最近では、動的構造を考慮したスクリーニング手法として、分子動力学(MD)シミュレーションによるドッキングポーズの安定性評価が知られています。しかし、MDシミュレーションは計算コストが大きく、スクリーニングに適用することは困難でした。近年、スーパーコンピュータ「富岳」などの大型コンピュータの登場によりインシリコスクリーニングにおけるMDシミュレーションの利用が現実的になってきています。その一方で、MD シミュレーションを用いた効率的なスクリーニングプロトコルは未だに確立されていません。 本研究では、ドッキングポーズにおけるリガンドの歪みによるフィルタリングや、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた3000回のMDシミュレーションによるドッキングポーズ安定性に基づくフィルタリング、さらにはAbsolute Free Energy Perturbation(ABFEP)法を用いた結合自由エネルギー計算を実施し、MDシミュレーションを用いた効率的なスクリーニングプロトコルの開発を行いました。
その結果、本研究で開発したMDシミュレーションベースのプロトコルでは既存の静的構造ベースのプロトコルに比べて、ヒット率が18倍程度向上することが明らかになりました。今後、本手法を他のデータセットにも適用し、様々な標的タンパク質にも適用可能なインシリコスクリーニング手法として確立していく予定です。




鍋谷 朋哉さんのコメント
この度は名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に思います。研究や発表準備にあたり、ご指導いただきました、池口教授をはじめ、浴本助教、理化学研究所の山根上級研究員、生命情報科学研究室の皆様に心より感謝申し上げます。発表では、多くの専門家の方々から研究内容についてご意見やご質問を頂き、様々な知見や指針を得ることができました。本学会での貴重な経験を活かし、今後もより一層研究活動に精進していきたいと思います。

指導教員 池口 満徳教授のコメント
受賞、おめでとうございます。発表者には、大学院生も多数いた中で、学部生での受賞は価値あるものと思います。特に、製薬企業の現場で創薬に従事している研究者も多数参加した会議での評価というのも大きいと思います。スーパーコンピュータを用いた創薬の高度化は、今後重要性を増していくと思います。ぜひ、今後もがんばって研究していっていただきたいと思います。


理学部

生命情報科学研究室

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