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学生が高知化学会会長賞を受賞
 湯川 智基さん(修士課程 化学コース1年)と淺川 愛菜さん(環境理工学群 4年)が「第18回高知化学会会長賞」を受賞し、12月20日に高知大学朝倉キャンパスで行われた授賞式および受賞記念講演会に出席しました。

 高知化学会は、化学講演会、出張講義、高校生・中学生のための化学実験講座など多彩な事業を展開し、化学の普及と活性化、化学を目指す若い世代の育成、地域産業の発展などに寄与する目的で活動する組織です。

 同賞を受賞した2人は現在研究を進める以下の題目で記念講演を行い、研究概要や受賞の喜びなどを語りました。

■湯川 智基さん
記念講演題目「水素結合を積極的に利用した発光性イリジウム(III)錯体開発」
 イリジウム-炭素結合を有するシクロメタレート型イリジウム(III)錯体は強い可視光の吸収/放出を示すことから、有機ELにおける発光材料や人工光合成における光増感剤などとして注目されている化合物群です。そのため、これまでに多様な発光色や機能性を示す錯体が合成化学的な戦略に基づいて開発されてきました。私が取り組む本研究では、これらの錯体の性質を自在に制御するための新たな設計指針の構築を目指して、化合物内に水素結合という弱い相互作用を導入した新規シクロメタレート型イリジウム(III)錯体を設計・合成しました。合成した新規錯体の光吸収および発光特性は、水素結合をもたない比較化合物のものから大きく変化し、水素結合によって化合物の光化学物性を制御することに成功しました。

 今回、このような賞をいただくことができ大変うれしく思います。ご指導いただいた先生や携わっていただいた方々に感謝し、今後も研究活動に真摯に取り組んでいきたいと思います。

■淺川 愛菜さん
記念講演題目「グラフト重合によるバイオマスポリマーの高機能化」
 近年、石油資源の枯渇や価格高騰等の問題から、オイルベースポリマーの代替としてバイオマス資源への注目が高まっています。私が現在注目しているのは蚕から採取されるシルクです。シルクの耐候性に欠ける点や摩擦に弱いといった欠点をグラフト重合という手法によって改善し、さらなる用途拡大を目的に研究を進めています。ジエチル亜鉛錯体を用いたシルクへのグラフト重合は今まで報告されていませんでしたが、ソープフリー状態におけるメタクリル酸メチルのシルクへのグラフト重合を確認しました。失敗や苦悩も数多くありますが、「誰もやったことがない」という点に研究の面白味を感じています。天然に存在するバイオマス資源と、人間が築き上げてきた化学の知識の双方を生かしたこの研究を更に追究していきたいと思っています。