モバっちょ


学長あいさつ
国立大学法人 宮城教育大学長 村松 隆

 宮城教育大学は、自然豊かな青葉山に在り、四季を通じて美しい情景が眼前に広がる素晴らしい環境にあります。春の山桜とまばゆい若葉、山藤の見事さ、夏の広瀬川のきらめき、錦秋を経て雪景色へ。授業中に聞こえる野鳥のさえずりは耳に心地よく、白樺の道をゆっくり歩けばリスやタヌキと出会う。心がしなやかに揺れ、感性を豊かに育みます。

 その美しい自然と共に本学の歴史は半世紀を越え、宮城県内はもとより全国へ多くの教師を輩出しました。親子そろって、また、兄弟(姉妹)そろって宮教大、という学生も少なくありません。このことは教師という仕事がとても魅力的であることを示しています。

 子どもの成長著しい大事な時期に直に接し、教え、育てること・・・、自身の知識、経験を投入し正しい方向に導き、教師自身もまた児童・生徒からの問いかけにより深化する・・・、そのような相互関係は他の職業には無い素晴らしいものです。教師の一言が子どもの人生を大きく決定づける言葉にもなりうる、そのような場面は珍しくなく、少なからず本学学生が経験し教師を志す思いを強めた理由の一つにもなっています。

 さて、教師には専門知識の修得はもちろん、児童・生徒理解力、学級経営力、多様さを認める姿勢、しょうがいを抱える子どもへの配慮、いじめ問題への対処など様々な資質および的確な対応が必要とされます。教員養成には全人格的教育が必要であり、人間の核となる本質を高め、磨かなければなりません。本学は誠実にそれを実践してきました。

 本学の教員と学生は良い意味でフラットな関係にあり、多様な議論が日々行われています。多彩な専門分野の面倒見の良い教員が多いですから、分野を越えたフレキシブルなディスカッションにより双方向の生きた学びが実現し、心の深部にまで定着します。これは今提唱されているアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)に通じるものであり、将来教師になった際、大きな力を発揮します。卒業生の間で「あの時A先生がおっしゃっていたのはこういうことだったと今気付いた」と話題になることもしばしばです。また、専攻・コースを越えた学生間の交流も盛んで、理科専攻の学生が日本文学のゼミに参加したり、社会専攻の学生が特別支援専攻の学生と議論したり、家庭科と理科の学生が天体観測をしたり、日々の真摯なやりとりにより、示唆に富んだ「知」が得られ、新たな感性が呼び起こされます。本学では、複数の教員免許取得が可能ですので、多角的な学びを通じて多くの学生が複数の免許を取得して卒業しています。

 教育を取り巻く環境は日々変化し、特に昨今特別支援教育についての重要度が増しています。先端的研究によりしょうがいの実態解明が進み、特別支援教育についてのハイレベルなニーズは高まる一方です。本学では、全しょうがい領域の専門家を教授陣として揃え、充実した教育を行っており、全国的にも有名です。高校生の時は特に興味が無かった学生が、入学後、特別支援の授業を受講することにより高い関心を抱き、積極的に学ぶ様子がよく見られます。また、公開講座は現職教員で常に満席です。どの学校現場でも特別支援教育の素養を備えた教師が求められる今、本学の半世紀の実績は他に誇れるものとして自負しております。

 そして、2011年3月11日、東日本大震災が起こったこの日を私たちは永遠に心に刻み付けねばなりません。決して薄まることのない重苦しい悲しみ、二度と会うことのできない大切な人、残された者が生きねばならない苦しみ、それらは想像を絶するものであります。学校現場でも多くの児童、生徒が犠牲になりました。一瞬にして未来が閉じられた無念さ、ご遺族の悲しみは計り知れません。この世の最大の不幸は子どもをなくすことだと言います。親御さんの日々は生き地獄とも言えます。

 教師の最も重大な使命は、子どもたちの命を守ることであります。教室に入れば、教師は何十人の子どもたちの命を預かることになるので、何があっても全員の命を守り抜かねばなりません。本学には防災意識の高い学生が多く、学生の声を受け、2019年4月新しい「防災教育研修機構」として「311いのちを守る教育研修機構」を発足させました。平成は自然災害の多い時代でしたが、新しき令和の時代において、いかなる災害が起こっても子どもの命を一つも失わない教師を養成することこそが、地域に根ざす教員養成大学としての使命であると確信しています。

 宮城教育大学は、教職員と学生が共に考え、共に学び、共に悩み、共に進み、共に創造する大学です。教師の魅力は無限大です。真の輝きを求めて、一緒に進んでまいりましょう。