生物資源学部

多様な生物資源と、それを育む環境を学び、人類の未来に活かす

 生物資源学部は35年ほど前、当時の農学部と水産学部の統合により発足した全国にないユニークな学部です。大学院の博士課程を大学単独でもち、入学定員が260名と農学系では東海・中部の国公立大学の中で最も多く、近畿、中四国を加えても第2位を誇ります。前身を1921年設置の三重高等農林学校とし、100周年を迎える伝統校で約70もの教育研究分野で農林水産系におけるほとんどの学問領域をカバーします。また、実習の場である附属教育研究施設として、紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター(農場、演習林、水産実験所)、そして中部地区の国立大学の中では唯一の練習船(勢水丸)を所有し、さらに、2016年12月、全国初の附属鯨類研究センターを設置しました。このように、生物資源学部は「山の頂から海の底まで」の文字通り広大なフィールドを教育・研究の対象とし、自然環境の保全と農林水産業及びその関連産業、すなわち、食料、環境、健康、バイオにかかわる産業振興を担う人材の育成を目指しています。
 生物資源は、山から海までの広範な地域で育まれ、食料をはじめとして工業原料、エネルギーなど人類にとって有用な財を提供します。その特長は、適切に利用すれば、枯渇することなく、持続的に利用できることです。また生物資源を生産するために良好に管理された環境は、人類が生きていく上でも良好な環境を保つ役割も果たしています。生物資源学部では、このような生物資源の生産と利用、その生産を支える環境の維持に貢献できる能力を身につけることを目指しています。

 01 山から海までの生物資源に関連する幅広い学問を学ぶことができます。
 02 地球環境・生態・個体・細胞から分子まで学ぶことができます。
 03 フィールドサイエンスセンターや練習船での実習などを通じて、広範な視野から学ぶことができます。

生物資源総合科学コース

 生物資源総合科学コースでは低学年次に、農林環境科学概論、海洋生物学、応用生命化学概論、フードシステムチュートリアル等の科目を学び、生物資源学の幅広い知識や俯瞰的視野、地域を先導する力に関する基礎的素養を身につけます。そして、志望分野を検討中の学生に最適な選択の可能性を提供します。
 2年次のコース選択時には、農林環境科学コース・海洋生物資源学コース・生命化学コースのいずれかへ配属されます。

農林環境科学コース

 農学専修では、生命農学と社会科学の視点からフードシステムを理解し、食料問題の解決や豊かな環境維持の方策と技術を身につけます。森林科学専修では、森林生態系の自然環境や生物多様性を学び、地球温暖化の抑止や脱炭素社会を実現する森林資源の持続的な利用に必要な技術を身につけます。農業工学専修では、農村空間や環境の保全修復、食料生産、資源循環、資源有効利用に関わる基礎理論を学び、それらのスマート化に必要な技術を身につけます。

海洋生物資源学コース

 プランクトンから魚介類・鯨類、藻類などにいたる多様な水生生物について、遺伝子レベルから生態系レベルまでの基礎を学ぶとともに、それらを増やし育てる技術、保全、資源としての持続的利用や流通のあり方を学びます。また、海洋環境やそれに密接にかかわる気候変動・異常気象なども対象とし、海洋における生物と環境との関係を理解し、多様な視点から海洋生物資源について総合的に学びます。

生命化学コース

 生命化学コースでは、多様な生物の代謝・物質・機能の解析を通して、生物の基礎的性質の化学的理解に必要な生命化学に関する幅広い知識と技術について学び、生物資源の持続的生産・利用・保全や人類の健康増進に貢献できる応用力を身につけます。生命化学コースでは2年次前期までに基礎専門科目を学び、2年次後期から生命機能化学専修または海洋生命化学専修に分かれ、各専修に特徴的な専門科目や卒業研究に必要な研究手法の学理と技術について学びます。