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人の営みを支える食料、資源、環境、生命について学び、未来を考える科学、それが農学です
 農学部では、人々が生きていくために必要な食料、資源、環境、そして、その中での植物、動物、微生物等の生物と人との関わり合いについて、広く深く学び、地球環境の保全と社会の持続的な発展に貢献できる人材を育成していくことを教育の目標としています。

 人が生きていくために最も重要なことは、まず食が足りていることです。最近の人口推計では、世界の人口は、2050年には約100億人に達すると予想されていますので、今後、食料の安定供給がますます大きな課題になります。農学部では、このような食の課題の解決に向けた研究を推進しています。例えば、植物の生長効率や穀物の収穫量の向上、病害虫や環境変動に強い耐性を持つ作物の開発、家畜の感染症の予防技術開発、水産動物の養殖効率の向上、食料生産や加工への微生物や酵素の利用技術の開発、さらに農業や地域の経済と発展、食の安全と安心、そして食と健康等の観点に基づく研究を行っています。

 また、近年、地球環境の保全が強く求められており、このことは安定した社会の持続的な発展のためにも重要です。20世紀には、石油や石炭等の化石資源を利用することで便利で豊かな社会になったと誰もが感じていました。さらに原子力の利用により無尽蔵とも思えるエネルギーを手に入れたと人々は信じていました。しかしながら、石油資源の安定確保や化石資源の利用による大気中の二酸化炭素量増加への懸念、さらに原子力利用の安全性への懸念等によって、今、地球環境の保全や社会の持続的な発展に向けた新たなプラットホームを構築しなければならないと人々は考えています。

 このような中で、農学はさまざまな課題の解決に貢献する責務を担っています。例えば、森林が大気中の二酸化炭素吸収源としての機能を発揮するために不可欠な健全な森林の育成と持続的な森林経営に必要な技術とシステムを開発することは農学の重要な課題の一つです。また、生物が生産する有機資源であるバイオマスを利用し、食の安定確保だけではなく、人々の生活に必要なさまざまなマテリアルとエネルギーを得るための新技術を開発し、これを社会普及することも農学の重要な使命です。

 農学部は、本郷地区の弥生キャンパスにあります。ここは弥生式土器が発見されたことで知られる有名な弥生の丘です。緑が多く、木立の中に、木造のオーディトリウムやギャラリー等の素敵な建物もあり、四季の移り変わりの美しい、落ち着いたキャンパスです。農学部正門横のギャラリーの前に、ハチ公と、その飼い主で我が国の近代農業の礎を築いた一人である上野英三郎先生の銅像があります。これは人と動物の触れ合いの姿を表現したものですが、生きものがお互いを支え合う大切さを同時に感じ取る人も少なくないでしょう。このような感性を持って、地球、生命、人の未来を考える農学部は、皆さんを心からお待ちしています。