工学部

前期課程の科類との基本的対応関係:理科一類・理科二類

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工学は未来を拓く

 東京大学工学部は、現代社会が直面する困難な問題に果敢に挑戦し、未来を切り拓こうとする気概に満ちた皆さんを歓迎します。世界最高水準の教育・研究環境のもとで、皆さんの可能性を大きく開花させていただきたいと思います。
 新しい科学技術の創出や夢の実現のためには、既存の知識の習得や原理の理解に加え、「工学」を習得することが不可欠です。工学は、人類の幸福や健康、安心・安全のために新しいモノやコトを創る学問体系です。IoTやAIを駆使したデジタル革命の推進、量子コンピューティングや量子セキュリティ、平和利用の宇宙開発や深海フロンティアの資源開発、自動運転に代表される次世代モビリティ、超高齢化時代のまちづくりやヘルスケア、持続可能社会の実現にむけたクリーンエネルギーや新素材の探索など、いずれも現代の工学が取り組んでいる主要なテーマです。東京大学工学部では世界最先端の研究を行っています。皆さんは、工学部において、社会を根本から変革するダイナミックな「工学」の本質を学ぶことになるでしょう。
 「工学」は創造の学問です。「工学」を修めることにより、無から有を創造することが可能となりますが、そのためにはものの本質を見極める力、挑戦するべき課題を見つけ出す力を涵養することが重要です。工学の現場において、答えは一つではありません。取り組む人の考え方やアプローチ、その個性によって異なるいくつもの解が存在します。「工学」は未来を切り拓くイノベーションの源泉となります。皆さんの創造する力を涵養するために、工学の専門性を深化させる講義だけではなく、課題解決型プロジェクト演習や自主的に取り組むことができる演習、インターンシップ、卒業研究などが用意されています。
 皆さんは世界を舞台に活躍することが期待されています。工学部や関連する大学院には、留学生や海外からの研究員が多数在籍し、国際的な環境が整っています。国際的に活躍するための講義や演習に加え、数多くの海外派遣・受入プログラムも準備されています。
 皆さんには専門力だけではなく、幅広い教養や倫理観を培い、自ら学ぼうとする意志と旺盛な好奇心、目標に向けて取り組み続ける忍耐力、ニーズを鋭く感じ取る知性・感性、課題を発見し解決する力、相互に意志の疎通を図るための高いコミュニケーション能力、他文化を積極的に相互理解しようとする包容力を獲得していってほしいと思います。
 皆さんが「工学」を修め、未来を拓く先頭に立ち、グローバルに活躍されることを大いに期待しています。
 

カタチと機能の関係を解析する

波田野明日可講師 ― 心筋細胞のマルチフィジックスシミュレーション

 心臓は全身に血液を送る重要な臓器であり、その機能は約10億の心筋細胞一つ一つが収縮することで成り立っています。長さ約100µm程の心筋細胞を更に拡大してみると、2µmの筋節と呼ばれる収縮ユニットと、エネルギー供給を担うミトコンドリアが規則的に並んでいます。心臓の収縮機能の低下の際には、この規則的な構造が乱れていることが多数報告されていますが、因果関係は分かっていません。当研究室では、心筋細胞内の微細な立体構造を三次元の電子顕微鏡画像から再現し、その構造内で生じるイオンの動き、細胞膜の電気的活動、ミトコンドリアからのエネルギー供給、収縮ユニットで生じる力とそれに伴う変形を、コンピューター上で統合的に解析する研究に取り組んでいます。バイオの技術により1つのタンパク質の異常が心臓の機能をどう変えるか、実験的な解明が進んでいます。シミュレーションを用いて、機能の変化に至るメカニズムを明らかにしていきます。


数値シミュレーションの基盤を支える

田中健一郎准教授 ― 数学的理論を基にした高性能な数値計算法の開発

 工学では、技術開発の際、物理法則や現象の数理モデルがしばしば基礎となります。これらを記述する数学的な方程式は一般に複雑で厳密解が書き下せませんが、実用上は解を近似的にでも計算しなくてはなりません。このため様々な分野で数値計算によるシミュレーションが重要となっています。特に近年は、扱うデータ量の増加とコンピューターの能力の増大に伴い、大規模な計算を高速かつ高精度に行う必要性が増しています。
 我々は、このような数値計算のための手法を、数学的理論に基づいて開発・解析しています。このような分野を数値解析といいます。数値解析は、美しい数学的理論があると同時に多くの現実的場面で役に立つため、基礎研究から応用まで様々な切り口の研究が展開できる面白い分野だと思います。


量子物性が拓く未来

齊藤英治教授 ― テクノロジーを駆使して「物理法則」を創る

 従来、科学技術研究の中心は物質の性質を支配する「物理法則」の研究とその応用でした。しかし、今や私たちは、これらの「法則」を自ら創造できる時代に入っています。物質の性質は、その内部で自由に動ける電子のミクロな運動によって定まります。この運動を決定する主要な要素は、原子スケールからマイクロメートルスケールにおける対称性やトポロジーという特性にあります。現代の技術を用いてこれらを意図的に設計することで、様々な物質の性質を支配する基本ルールを創出し、新たな物質系の開発や、さらにはエネルギー変換や量子情報処理技術への応用につなげる研究を進めています。


留学生との協働による日本人学生の国際化

学生の英語力向上と多文化交流をサポート

 工学部・工学系研究科では学生の国際化のための様々な活動を展開しています。アカデミック・ライティング、アカデミック・プレゼンテーションの授業では研究成果を発表するのに必要な英語力を鍛えます。英語論文やキャリアドキュメントへのフィードバックを行うライティングセンター(ERIC)も運営しています。課外授業としては、英語学校の提供する英会話・TOEFLの授業を放課後にキャンパスで受けられるSpecial English Lessonを運営しています。多文化交流のプログラムとして、お弁当を持ってラウンジに行くだけで留学生と交流ができるInternational Loungeを行っています。いずれのプログラムでも留学生がアシスタントとして本領を発揮し、本学学生に多文化を体験させてくれます。

社会基盤学科

・国土学
・交通学
・景観学
・水理学
・自然災害と都市防災
・開発とインフラ

建築学科

・建築設計製図
・建築計画
・都市建築史
・環境工学
・建築構造解析
・建築材料学

都市工学科

・国際都市地域計画論
・都市交通システム計画
・都市デザイン概論
・環境反応論
・水環境学

機械工学科

・流れ学
・材料力学
・熱工学
・機械力学
・機械分子工学
・生体機械工学
・機械設計
・システム制御
・生産の技術
・生産システム
・設計工学
・創造設計演習

機械情報工学科

・機構学
・ソフトウェア
・メカトロニクス
・ロボティクス
・ヒューマン・インタフェース
・知能機械情報学

航空宇宙工学科

・空気力学
・航空機力学
・航空機構造力学
・航空宇宙推進学
・宇宙推進工学
・航空宇宙システム学計画および製図
・航空宇宙推進学計画および製図

精密工学科

・精密計測工学
・ロボット工学
・メカトロニクス
・生産加工学
・設計情報システム

電子情報工学科

・コンピュータシステム
・情報ネットワーク
・情報セキュリティ
・メディア・コンテンツ
・人工知能

電気電子工学科

・エネルギー・環境
・制御・システム
・ナノ物理・光量子
・VLSI・MEMS
・バイオエレクトロニクス

物理工学科

・量子力学
・統計力学
・電磁気学
・固体物理
・量子情報

計数工学科

・数理工学
・最適化手法
・回路とシステム
・認識行動システム
・生体情報論

マテリアル工学科

・マテリアル熱力学
・マテリアル組織学
・マテリアル工学実験
・マテリアル設計学

応用化学科

・物理化学
・無機化学
・有機化学
・分析化学
・エネルギー化学

化学システム工学科

・化学工学
・反応工学
・環境システム工学
・分離工学
・触媒工学

化学生命工学科

・有機化学
・高分子化学
・生命化学
・分子生物学
・バイオテクノロジー

システム創成学科

・システム創成学基礎
・環境リスク論
・災害シミュレーション工学
・社会システム工学基礎
 
●社会基盤学科
●建築学科
●都市工学科
●機械工学科
●機械情報工学科
●航空宇宙工学科
●精密工学科
●電子情報工学科
●電気電子工学科
●物理工学科
●計数工学科
●マテリアル工学科
●応用化学科
●化学システム工学科
●化学生命工学科
●システム創成学科