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多様性を享受しつつ、自分の核となるものを
泉 賢太郎(いずみ けんたろう)
千葉大学教育学部理科教育講座 特任助教

 東京大学には多様な学部・学科があり、多くの教職員と学生が在籍しています。また、海外からの留学生や研究者も少なくありません。さらに、附属病院や附置研、実習施設などもあり、非常に恵まれた教育研究環境です。それ故、東京大学は多様性の宝庫です。一方で、多様性が高いということは、それだけ多くの可能性があるということです。何となく聞こえは良いですが、自分の中で核となるもの(例えば興味のある分野や将来の方向性)をある程度は明確化しておかなければ、ただその多様性に圧倒され、漠然と日々の生活を送っていく中で時間だけが経過してしまいます。東京大学に入学することはもちろん一つの大きな目標だと思いますが、それだけにとどまらず、入学後に磨いていきたい自分の核となるものについても考えを巡らせることも重要でしょう。

 もう一つは、人との出会いも大切にして欲しいと思います。どの分野でもそうですが、自分自身で努力し、突き進んでいくことは重要です。その過程で関わる多くの人との出会いを楽しみ、そして大いに議論してください。自分の努力と人との出会いや議論が総合的に絡み合い、唯一無二の“自分”という存在を形作っていくのだと考えています。

 私自身は、地質学の研究者として、特に地層と化石に記録された地球の姿をひも解くような研究を専門に行っています。現在は千葉大学教育学部理科教育講座で特任助教として学内教育活動に加えて、自身の専門研究に取り組んでいます。そのような現在の私があるのも、学部生から大学院博士課程まで通算9年間在籍していた東京大学での学びや研究が原点となっています。特に、配属した研究室の先生や、大学院での諸先輩・同期・後輩達との出会いは、私にとってかけがえのないものです。大学院時代には、指導教官の先生の専門とは異なっていたのですが、自分が興味のある研究テーマを独自に設定し、それに没頭しました。それでも研究室に受け入れてくださった先生には本当に感謝しております。また、ゼミが違っていても周囲の大学院生仲間達との議論は有意義で、自身の研究内容や研究分野を俯瞰的に評価することにつながります。自分自身で専門研究を進めていく上では、もちろんそれ相応の苦労や回り道がありましたが、そのような“もがき”も成長につながりましたし、何より、やりがいをもって取り組むことができました。

 最後になりましたが、東京大学を志す皆さんは、入学した暁にはその多様性を存分に享受し、そして色々な人との出会いを大事にしつつ、自分の核となるものを見つけてそれに没頭して欲しいと思います。それができれば、皆さんにとって間違いなく東京大学は最高の場所になるはずです。