教養学部

前期課程の科類との基本的対応関係:文科一類・文科二類・文科三類・理科一類・理科二類

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教養学部の後期課程では、「越境する知性」の育成をめざして 文系、理系、あるいは文理を超えた領域横断型の教育を行っています

 教養学部は、東京大学の全学部に進学する学生の前期課程教育を担当する責任部局であると同時に、独自に専門教育を行う後期課程を擁しています。文系と理系を含むこの教養学部の後期課程では、東京大学の前期課程の精神をさらに発展させ、「学際性」・「国際性」・「先進性」をキーワードとして、複数の領域をまたいだ関心を持ち、異言語・異文化の環境に積極的に関与しつつ、新しい分野を開拓しようとする気概を持つ、「越境する知性」の育成をめざしてきました。1951年の教養学科の創設以来、伝統的な学問分野を超えた「国際関係論」等の分野をいち早く取り入れてきた駒場の後期課程ですが、さらに現代社会の要請や、時代の変化に対応するため、2011年に新たな改組を行い、既成の学科の大胆な組み替えを行いました。新たな教養学部後期課程は、「超域文化科学分科」、「地域文化研究分科」、「総合社会科学分科」の3分科からなる文系の教養学科、「科学技術論」、「地理・空間」、「総合情報学」、「広域システム」などのコースからなり文理融合分野をカバーする学際科学科、および「数理自然科学」、「物質基礎科学」、「統合生命科学」、「認知行動科学」、「スポーツ科学」の5コースからなる理系の学科である統合自然科学科の3つの学科から構成されており、それぞれ特色ある教育を行っています。
 また、2012年10月から、教養学部では、英語での履修を基本とするPEAK(Programs in English at Komaba)というプログラムを運営しています。アドミッション・オフィス(AO)形式で入学した世界中の学生が、前期課程では「国際教養コース」(International General Education Program)で学び、後期課程では「国際日本研究コース」(International Program on Japan in East Asia)、「国際環境学コース」(International Program on Environmental Sciences)のいずれかに進学します。一般選抜で入学した学生も要件を満たせば後期課程のPEAKプログラムに進学することができます。
 教養学部には数多くの教員が所属し、さまざまな分野で研究を展開していることから、授業の多くは理想的な少人数の環境で行われています。文系では、多様な外国語教育が展開されており、特定の地域に偏らない国際的な視野を得ることが可能になっています。特に主要な言語については、高度な運用能力を身につけるプログラムが用意されています。国際的な発信力をもち、学問領域を横断する柔軟な発想力のある人材の育成を目標としています。また、理系の学科では、既成の学問分野にとらわれない独自の教育プログラムが展開され、複数の分野にまたがる専門的な知識や見識を獲得するだけではなく、それらを基礎に先進的な学問分野への道を進むことができます。さらに、文理融合分野では、文理を問わず柔軟な思考と適切な方法論を用いて、新しい課題に総合的な視点を持って対処できる人材の育成をめざしています。また、上記の学科・分科のカバーする分野に入りきれない領域横断的なカリキュラムとして、グローバル・エシックス、進化認知脳科学、科学技術インタープリター、グローバルスタディーズ、および東アジア教養学の学融合プログラムが用意されています。このように文理を問わず、多様な学問分野の越境を促すさまざまな仕組みが用意されているのが、教養学部後期課程の特徴です。
 

教養学科 超域文化科学分科

学問領域や地域的境界、文化ジャンルを超え、文化とことばをダイナミックにとらえる

 「文化人類学」、「表象文化論」、「比較文学比較芸術」、「現代思想」、「学際日本文化論」、「学際言語科学」、「言語態・テクスト文化論」の7コースで構成され、学問領域や地域的境界、文化ジャンルを超えたダイナミックで横断的な学際性・総合性がこの分科の特色です。伝統儀礼や民俗芸能から、異文化間の交流、情報化社会における芸術や文化、それらの根底にある言語活動や思想にいたるまで、研究領域は人類の文化の総体が対象になっています。各コースでは、具体的な対象に即した実地の作業が重視され、コース間の連携を図りながら活き活きとした教育研究を実践することを目標としています。


教養学科 地域文化研究分科

グローバル化の時代だからこそ、地域から世界を理解する

 「イギリス研究」、「フランス研究」、「ドイツ研究」、「ロシア東欧研究」、「イタリア地中海研究」、「北アメリカ研究」、「ラテンアメリカ研究」、「アジア・日本研究」、「韓国朝鮮研究」の9コースから成り立つこの分科では、各地域の特質を歴史学、政治学、経済学、社会学、哲学、文学、言語学などの研究方法を使って多角的に学び、広い視野に立って全体像をとらえる姿勢の育成をめざしています。「地域文化から世界へ」を基本姿勢とする一方で、重層化・複合化が進行する各地域で観察される「世界から地域文化へ」の方向性も重要なテーマです。学生に求められているのは、多様な地域文化を理解するために不可欠な言語の習得、具体的な知見を通した実践知の獲得です。


学際科学科

文理を問わずさまざまな方法論を駆使し、総合的に課題を解決できる人材を養成する

 学際科学科では、柔軟な思考と適切な方法論を用いて新しい課題に総合的な視点をもって対処できる人材を育成します。そのために、多様な方法論、幅広い対象、それらの基礎となる空間、学問自体を対象とするメタな認識について幅広く、深く学んでいきます。このようなアプローチにはもはや文理の区別など最初から存在していません。専門性を高める分野としては、科学技術論コース、地理・空間コース、総合情報学コース、広域システムコース、国際環境学コースの5つのコースが用意されています。5つのコースに進化学を含めた6つをサブプログラムとして用意し、複数の専門を身につけることもできるようになっています。授業では少人数の演習や実習を多く用意し、人と協調し発信できる人材の養成をめざしています。


統合自然科学科

自然科学の知を統合して新しい分野を開拓する人材を養成する

 統合自然科学科では、従来の自然科学分野の発展を担いつつ、多様な自然科学の知を統合する人材を養成します。そのために数理科学、物質科学、生命科学、認知行動科学、スポーツ科学のそれぞれに重点を置いた「数理自然科学」「物質基礎科学」「統合生命科学」「認知行動科学」「スポーツ科学」の5つのコースを設け、それぞれの専門に立脚しつつも、多様な選択を可能とする教育システムが整備されています。それらによって、専門分野について深く学べるだけでなく、様々な学問領域を自由に越境・横断し、新しい分野を開拓し、幅広く豊かな自然科学的知性を身につけることが可能になります。また、教養学部他学科の講義との強く柔軟な連携により、さらに広い学問分野の知識体系の習得もできます。


教養学科 総合社会科学分科

国境を越え、学問の境界を超える

 「相関社会科学」と「国際関係論」の2コースから構成され、社会科学の総合的研究とその現実社会・国際社会への適用をめざしています。両コースのカリキュラムは異なりますが、ともに経済学、法学、政治学、社会学など従来の社会科学の成果を尊重しつつも、その縦割り的な制約を超えて、グローバル化する現代社会の諸問題に対して領域横断的にアプローチしようとする点で共通しています。問題の複合化に創造的に対処しうる人材、さらにはその努力を具体的成果としてまとめあげることができ、国際的、社会的な諸分野で活躍できる人材の養成を目標としています。
 
●教養学科
超域文化科学分科
文化人類学
表象文化論
比較文学比較芸術
現代思想
学際日本文化論
学際言語科学
言語態・テクスト文化論

地域文化研究分科
イギリス研究
フランス研究
ドイツ研究
ロシア東欧研究
イタリア地中海研究
北アメリカ研究
ラテンアメリカ研究
アジア・日本研究
韓国朝鮮研究

総合社会科学分科
相関社会科学
国際関係論

●学際科学科
科学技術論コース
地理・空間コース
総合情報学コース
広域システムコース

●統合自然科学科
数理自然科学コース
物質基礎科学コース
統合生命科学コース
認知行動科学コース
スポーツ科学コース

PEAK(Programs in English at Komaba)
国際日本研究コース(International Program on Japan in East Asia)
国際環境学コース(International Program on Environmental Sciences)