文学部
前期課程の科類との基本的対応関係:文科三類
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/
時代も場所も違うひとびとの声に耳を傾けつづけ、とりあえずの正解を日々バージョンアップしていく
文学部は、いわゆる「文学」だけを学ぶところではありません。思想、哲学、美学、宗教、歴史、考古、言語、芸術、心理、社会……と、学べることがらは広範囲にわたっています。
ではなぜ「文学部」というかといえば、27ある専修課程のそれぞれが、何らかの意味での「文」を「学ぶ」場であるからです。思想家の遺した思索、歴史上の行政文書、発掘された遺跡、絵画などの視覚芸術、あるいはまさに文学と呼ばれるような作品、さらには無意識を含む人間の心理、社会をめぐる様々なデータ……多種多彩ではあっても、文学部が研究対象としているのは、ほとんどすべて、ことばで織りあげられた「文」、すなわちテクストとして存在しています。
そうした種々の「文」に込められた意味を探ったり、文脈を復元したり、あるいはそのことばがなぜ自分を感動させるのかを考えたりする。「文」はすべて、人間がつくり出したものです。思想も、歴史も、文学も、社会も、人間だけが高度に発展させえた文化でした。つきつめていえば、文学部のすべての営みを貫いているのは「人間とは何か」という問いだと言ってよいでしょう。
ひとがつくったものを、ひとが解読する。そこでは見る者と見られる者がつねに絡みあっていて、自然科学で想定されるような、観察する主体と観察される客体の明快な分離はありません。何を研究対象とするにせよ、多くの場合、絶対の正解というものもありません。それぞれの立場から主張される、さまざまな正解がある。そのなかで、よりよい解をさぐっていく。自分と違う立場に立つひとびとの声に耳をよく傾け、自分がもっているとりあえずの正解を日々バージョンアップしていく。文学部における「研究」は、問いにみあう解をさぐるだけでなく、問いを問いなおしながら進んでいくのです。
文学部は人文学科の一学科制ですが、専修課程ごとに「研究室」があります。授業以外の時間にも、研究室にふらっと顔を出して、学生同士、あるいは助教・教員と学問的・非学問的なおしゃべりに興じるのも楽しいものです。授業も少人数の演習が多く、教員の話を聞くのみならず、自由に発言し討論したりする機会も多い。もちろん、自分が属する専修課程の授業だけでなく、他の専修課程の授業も自由にとれ、そこから多様なものの見方を学んでいけることも、文学部の楽しさのひとつです。
文学部で学べることは、じつに多様であると同時に、人間とは何かというところで深くつながっています。その面白さを共有してくれる人を、文学部は待っています。
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時代も場所も違うひとびとの声に耳を傾けつづけ、とりあえずの正解を日々バージョンアップしていく
文学部はそういうところです
文学部は、いわゆる「文学」だけを学ぶところではありません。思想、哲学、美学、宗教、歴史、考古、言語、芸術、心理、社会……と、学べることがらは広範囲にわたっています。ではなぜ「文学部」というかといえば、27ある専修課程のそれぞれが、何らかの意味での「文」を「学ぶ」場であるからです。思想家の遺した思索、歴史上の行政文書、発掘された遺跡、絵画などの視覚芸術、あるいはまさに文学と呼ばれるような作品、さらには無意識を含む人間の心理、社会をめぐる様々なデータ……多種多彩ではあっても、文学部が研究対象としているのは、ほとんどすべて、ことばで織りあげられた「文」、すなわちテクストとして存在しています。
そうした種々の「文」に込められた意味を探ったり、文脈を復元したり、あるいはそのことばがなぜ自分を感動させるのかを考えたりする。「文」はすべて、人間がつくり出したものです。思想も、歴史も、文学も、社会も、人間だけが高度に発展させえた文化でした。つきつめていえば、文学部のすべての営みを貫いているのは「人間とは何か」という問いだと言ってよいでしょう。
ひとがつくったものを、ひとが解読する。そこでは見る者と見られる者がつねに絡みあっていて、自然科学で想定されるような、観察する主体と観察される客体の明快な分離はありません。何を研究対象とするにせよ、多くの場合、絶対の正解というものもありません。それぞれの立場から主張される、さまざまな正解がある。そのなかで、よりよい解をさぐっていく。自分と違う立場に立つひとびとの声に耳をよく傾け、自分がもっているとりあえずの正解を日々バージョンアップしていく。文学部における「研究」は、問いにみあう解をさぐるだけでなく、問いを問いなおしながら進んでいくのです。
文学部は人文学科の一学科制ですが、専修課程ごとに「研究室」があります。授業以外の時間にも、研究室にふらっと顔を出して、学生同士、あるいは助教・教員と学問的・非学問的なおしゃべりに興じるのも楽しいものです。授業も少人数の演習が多く、教員の話を聞くのみならず、自由に発言し討論したりする機会も多い。もちろん、自分が属する専修課程の授業だけでなく、他の専修課程の授業も自由にとれ、そこから多様なものの見方を学んでいけることも、文学部の楽しさのひとつです。
文学部で学べることは、じつに多様であると同時に、人間とは何かというところで深くつながっています。その面白さを共有してくれる人を、文学部は待っています。
心の財産
研究室という学問のコミュニティ
文学部生は必ずいずれかの専修課程に属します。文学部は大学院人文社会系研究科に接続していますから、一つの専修課程には学部3年から博士課程までの年齢層の異なる学生が教員や助教とともに同居することになります。大学院の学生の中には留学生も少なくありません。この空間を研究室とよびます。規模の大小はあるものの、研究室は日常的に学生と接する助教をリーダーとするコミュニティの観を呈します。どの研究室にも共同の辞書室あるいは学生談話室のような場所があり、そこでの予習や談論、自主的な勉強会を通して、進学当初は緊張し気後れしていた3年生もしだいに溶け込み、4年生になるころには知的にも人間的にも、しばしばたくましい成長ぶりを見せてくれます。同じ分野を専攻する先輩や同輩との語らいや友人関係は、卒業した後も貴重な財産となることでしょう。知性と感性
古典を読んで新しい世界を開く
大学では英語以外にもさまざまな外国語が教えられています。とりわけ文学部では3・4年生を対象とする外国語教育に重点が置かれています。英独仏露の他、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ヒンディー語、中国語、韓国朝鮮語、アラビア語、ペルシア語、ラテン語、ギリシャ語、チベット語等があります。せっかく学んだ外国語、それを活用しない手はありません。文学部では、オリジナルの言語で書かれたテキストをきちんと読む力を養うために「原典」を読む授業や、「古典」を読む授業も多く開講しています。カント、源実朝、司馬遷、チョムスキー、フランク・オコナー、ラ・フォンテーヌ、ボードレール、プラトーノフ、ガルシア=マルケス等の作品や、「タルムード」、「グリム童話」、「仮名手本忠臣蔵」等を自主的に読む演習もあります。古典をじっくりと読む経験から、必ずや新しい世界が開かれていくことでしょう。ここで培われた読む力は、大学を卒業した後も、一生を通して皆さんの知性と感性を高めてくれるに違いありません。書を捨てないで外に出よう
実地に学ぶ
文学部というと、ひたすら本を読んでいるところと思われるかもしれません。しかし、それは違います。心理学ではさまざまな測定装置を使う実験が数多く行われていますし、社会学ではフィールドワークを含む社会調査が不可欠です。考古学の発掘はもとより、歴史学の文書研究でも、美術史の研究でも、じつにさまざまな場所に出かけていっての実習が行われています。なかには海外の研究所と提携したサマー・プログラムやウィンター・プログラムのように、海外の学生を迎え、あるいは諸外国に出向く国際交流の機会もあります。文学部の学生は、研究室や図書館の外にも出ているのです。書を捨ててではなく、書を携えて。気後れなんて
演習で自分を鍛える
文学部の授業でとても重要なのが、各専修課程に必ず設けられている演習(ゼミ)と呼ばれる授業です。専修課程によってその内容は違っていますが、もっぱら教員が講義を行う授業とは異なり、テキストの輪読や調査の報告など、学生が主体的に参加するところに特徴があります。ふつう演習は、参加者全員の顔がわかるくらいの少人数で行われ、学生は自分で勉強してきたことを教員や仲間の前で発表し、教員を交えて質疑応答や議論を行うことになります。はじめは気後れしたり、自分の間違いを指摘されることを嫌がったりすることもありますが、演習での「失敗」は必ず力になるものです。
2年間を通していずれかの演習に参加することにより、文学部の学生は卒業論文を書く力を身につけていきます。ときにはティーチング・アシスタントを務める先輩の大学院の学生が助けてくれるかもしれません。ゼミの仲間は、貴重な友人となるでしょう。
海の中へ
卒業論文という試練
文学部の学生にとっての最大の試練は、おそらくこの卒業論文の作成でしょう。その形式や内容は専修課程によって違いがありますが、学生生活の総決算にあたるもので、これがきちんと書けないと卒業することはできません。自分の考えていることを、その妥当性を吟味しつつ、説得力のあることばで過不足なく表現すること――それはとても難しく、苦しい営み。だからこそ心弾む作業なのです。また、大学院に進学しようという学生は、卒業論文で自分の力をアピールしなければなりません。自分でテーマを設定し、問いをたて、先人たちの研究とは異なった新しさを打ち出しながら、学術論文の形式に従って、論文を書くというのは、決してなまやさしいことではありません。提出期限を間近に控えた4年次の1月は、とても正月気分にはなれないでしょう。しかし、テーマは何であれ、卒業論文は著者である学生の情報収集・解析能力、構想力、表現力、忍耐力、そして体力を高める絶好の機会なのです。この試練を乗り越えた学生は、どこに行っても立派な社会人として通用するに違いありません。
是非、文学部でこの試練にチャレンジしてください。質量ともに第一級の文献の海が、皆さんを待っています。
人文学科
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・西洋古典学専修課程
・心理学専修課程
・社会心理学専修課程
・社会学専修課程
以下の専修課程開講科目以外に、全ての専修課程で特殊講義・演習が開講されています。
専修課程開講科目
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・インド哲学史概説
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・フランス語圏言語文化
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●人文学科