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自分の限界と可能性を知る
桝 太一(ます たいち)
日本テレビ アナウンサー

 私は、もともと生物の研究者になることを志して理科二類に入学しました。実際に農学部に進学し、アサリについて修士論文を書いた自分が、一体なぜ最終的にアナウンサーという道に進んだのか、傍から見れば理解に苦しむかも知れません。しかしそれはひとえに、東大という最高の環境だからこそ知ることができた、「自分の限界と可能性」に起因しています。

 大学に入ってからも志を追いかけ続け、夢を叶えられたとしたら、それ以上に素晴らしいことはありません。しかし私の場合、東大の濃密な内容の講義、才能あふれる先生方や学友たちと接していく中で、生物の研究者になりたいという自分の志が、井の中の蛙とも言える甘い考えであったことに気付かずにはいられませんでした。ハイレベルな環境だからこそ、自分の「限界」もくっきりと見えてきたのです。自身の能力では、思い描いたような研究者になることはとてもできない。では、一体自分には何ができるのか?

 その先のヒントをくれたのもまた、東大ならではのすばらしい環境でした。教養学部で、分野にしばられず好きな講義を自由に履修できたことで得られた、視野の広さ。そして、山や海へどんどん分け入る大らかな農学部実習を通して体感した、生き物そのものが持つ輝き。自分で研究できないならば、その意義や魅力を伝える側に回ればいい。第一線の研究を目の当たりにした自分だからこそ、伝えられるものもある。それは、一度「限界」を知ったがゆえに見出せた、入学時には想像もしていなかった自分の新たな「可能性」でした。

 今、実際にアナウンサーという仕事を通し、生物の魅力を伝える企画に携われています。もし東大の環境に触れていなければ、自分の限界も可能性もぼんやりしたまま、中途半端な道を歩んでいたかも知れません。大きく広がる海の存在に気付けるのは、井戸の壁にぶつかったことがある蛙だけです。是非とも、思いっきり壁にぶつかりに、そしてその先にある自分の可能性を探しに、東大に来てください。